Guidance of dialysis
足は『第2の心臓』といわれるくらい体の大事な部位です。魚の目・たこをそのままにしておくと痛みが生じるため、早期の処置が必要です。近年、高齢の患者様の増加に伴い、自ら足の手入れが出来ない人が増えています。特に糖尿病があると、細菌感染の危険性が高くなり、足の切断に至る傾向にあります。当院では、セルフケアの指導を行い患者様自らが自身の足に関心を持ち、傷の早期発見につなげるよう指導しています。
1-1 定期的な足チェック
当クリニックではフットケア委員の指導のもと、受け持ちスタッフが足の観察を1ヶ月に1回行なっています。早期に足病変を発見し、必要時は皮膚科に紹介し、治療をしたり、SPP検査(※1)を行ったりして、下肢の切断に移行しない様に努力しています。
1-2 SPP検査(皮膚灌流圧検査)(※1)
2007年よりSPP検査(皮膚灌流圧検査)を導入し、足病変の予防的ケアと早期発見・治療に尽力しています。
左右足背、足底の計4箇所で測定し、最低値によって診断します。
SPP最低値60mmHg未満では、下肢造影CTの施行、注射、内服薬の開始、改善がなければ下肢EVT治療(※2)になります。また、SPPの値によって期間を決めフォローをしています。
*1:SPP(Skin Perfusion Pressure:皮膚灌流圧)検査は、非浸襲的に末梢循環血流量を測定することができ、血管の石灰化や浮腫・貧血などの影響を受けにくいため、末梢微小循環評価に有用とされています。
*2:EVT治療(End Vascular Therapy):血管内治療
創傷処置経過表を作成しスタッフ間で情報共有を行い、医師の回診のもと足浴、洗浄、保湿などをして病変処置をしています。また月1回院長とフット担当医師、フットケア委員によるカンファレンスで、各チームの1ヶ月の処置状況の報告を行なっています。
2019年6月よりブラインダーを導入し、魚の目、たこの処置を定期的に行なっています。
3.1 フットケアについての患者勉強会
導入期にパンフレットを用いてフットケアの勉強会を行っています。パンフレットには、自分の足に興味をもってもらうため、起こりやすい足のトラブル(水虫、魚の目、たこ、乾燥によるひびわれ等)の説明や、爪きりの仕方、正しい靴の選び方等があります。
フットケアパンフレット
患者勉強会風景
3.2 フットケア新聞の作成
年2回、フットケア新聞を透析フロアーに掲示しています。テーマは使い捨てカイロなどによる、低温やけどの予防や自分でできる簡単なセルフチェックのポイントなど、定期的に要点を変え、話題性のある内容になるよう努めています。
フットケアは、スタッフ間での情報共有が重要なチーム医療です。フットケア委員の活動内容を共有し、足チェックのポイント、創傷処置、SPP評価などについて、年に1回の勉強会を開催し、より良いフットケアを目指しています。