くすりの窓 2004.7
気温の高い日が続いています。いよいよ夏本番ですね!日中外で活動する時には日射病や熱射病には十分気をつけ、水分や休養をしっかりとるようにしましょう。前回のくすりの窓でもやったように、紫外線にも要注意ですよ!
今回はみんな気になる水虫についてです。
水虫とは
水虫の正体は、白癬菌というかびの一種で、皮膚の一番外側の角質層に寄生しています。冬場のように低温で乾燥している状態では、なりをひそめていますが、春先から夏場にかけて高温でジメジメしてくると、増殖して患部を悪化させます。
角質層は、外部の刺激や雑菌からからだを守るために、大変強固にできています。そのため、いったんそこに白癬菌が住み着くと薬が浸透しにくく、なかなか死滅しません。しかも、白癬菌の生命力は強く、はがれ落ちた皮膚の破片の中でも生きているといわれるほどです。
水虫の症状
足がかゆいだけが水虫とは限りません。水疱ができたり、痛みが出たりする場合もあります。以下は水虫のタイプとその症状です。
●趾間型
趾間(足指の間)に白色浸軟(ジュクジュク)をきたし、やがてびらん(皮膚が割れたり、むける)となり、その周辺に鱗屑(皮膚のカスがはがれる)が見られる。かゆみが強いが、びらんになると痛みが出る。2次感染を起こしやすい。
●小水疱型
夏に多い型。かゆみが強い。軽度の発赤のほか、半米粒大の小水疱が密集したり環状に配列したりする。足にもっとも多く見られる。
●角化型
足底全体に皮膚が乾燥し、カサカサした状態。かゆみは少ないが、角質の増殖が見られる。夏に悪化するが、冬でもかかる。治りにくい。
水虫ができる場所
水虫(白癬菌)ができる場所は、足だけとは限りません。頭や体部にもできる可能性があります。白癬菌が寄生する場所によって俗称があります。(頭:しらくも、体:タムシ・ゼニタムシ、陰部:インキンタムシ、手:手白癬、足:水虫など)
「足がかゆい」「足の皮膚にポツポツとした穴ができた」からといって、水虫とは限りません。水虫に限らず、皮膚病は症状を見ただけでは判断に迷うものです。
間違った手当てをすると、かえって症状を悪化させる原因にもなります。とくに手や足にできる皮膚病は、貨幣状湿疹や接触性皮膚炎のように、水虫によく似た症状が多いもの。水虫も皮膚病も、正しい症状の判断、正しい薬の選択が治療の基本です。
水虫の感染
5人に1人とも、4人に1人ともいわれる水虫患者。とくにサラリーマンの場合は、4割の人(2.5人に1人)が水虫だといわれています。困ったことに、水虫は感染します。水虫の人の皮膚からはがれ落ちた角質層には、水虫菌(白癬菌)が生きたまま残っています。これを他の人が裸足で踏みつけたり、足ふきマットやスリッパを共用したりすると、水虫が移ることがあります。家族に水虫に患った人がいる場合は要注意です。しかも、気密性の高い最近の住宅は、人と同様にカビにとっても暮らしやすい環境です。水虫菌は、人に寄生するチャンスをいつもうかがっているのです。
水虫の治療
水虫は完治させるまで時間のかかる病気です。まずは、症状に合わせた薬を選ぶことが大切です。また、症状を悪化させないよう、普段の生活にも注意しましょう。
接触性皮膚炎など水虫とよく似た症状を示す皮膚病がありますが、水虫の薬で逆に症状が悪化してしまうことがあります。わからないときは、自己判断せずになるべく医師の診察を受けるようにしましょう。
治療・予防のための日常生活の注意点
水虫の治療と予防をするために、日常生活で気をつけなくてはならないことを以下にまとめました。
・まずは水虫患者本人の治療が第一。効果の高い水虫薬を、少なくとも2ヶ月以上は続けましょう。始めは熱心に治療していても、かゆみが消えると怠りがちになります。大切なのは「根気」です。
・患者本人はもとより、家族の方も足を清潔に保つことが肝心。手洗いやうがいと同様に、帰宅後に足を洗う習慣をつけましょう。手間はかかりますが、効果は大です。
・こまめな掃除と湿気の除去で、家屋に潜む水虫菌をできるだけ減らしましょう。洗面所、脱衣所などの水周りや、スリッパ、寝具等はいつも清潔にし、感想に留意します。
〜水虫の治療には正しいフットケアが大切です〜
足を洗うとき、ゴシゴシこすっていませんか?力を入れすぎるとかえって皮膚を傷つけて、水虫菌を入り込みやすくしてしまいます。石鹸を使い、水やぬるま湯で、やさしくなでるようにすみずみまで洗いましょう。洗い終わったら、清潔なタオルで水分をしっかりとふきとります。この状態で水虫薬をつけるのがもっとも効果的です。
冷涼 |
水虫は高温多湿が大好き。とくに、炎症したりハレたりしたときには、乾燥と同時に患部を冷やします。 |
乾燥 |
水虫は患部がムレると悪化しやすいもの。お風呂上がりに水分をよくふきとり、靴下や履物は通気性のよい素材を選びましょう。 |
清潔 |
患部はいつも清潔に。刺激の少ない専用の石鹸で洗いましょう。
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根気 |
水虫はしぶとく、再発しやすい病気です。かゆみや痛みなどの自覚症状がなくても、しばらくは治療を続けましょう。根気が大切です。 |
!!このタイプの足に要注意!!
以下のような条件に当てはまる方は、水虫にかかりやすく、また治りにくい足のタイプです。
・足の指をあまり動かせない。
・足全体がズングリ丸い。
・指と指の隙間がない。
・指先が太くて短い。
・外反母趾である。
このようなタイプの方は、毎日のフットケアをとくに念入りにし、水虫の予防に努めましょう。
水虫の治療薬
当院にある水虫の治療薬についてまとめてみました。状態や症状によって薬の種類や使い方が違うことがありますので、主治医の指示に従って正しく使うようにしましょう。※カッコ内は成分名です。
@内服薬
イトリゾール(イトラコナゾール)
抗真菌薬という部類に属するお薬で、体の内部や表面にいるかびを殺し、治療します。特に塗り薬が届かない皮膚の奥や内臓への菌の感染に効果があります。病状や治療する部位によって飲み方や量、飲む期間などが変化します。主治医の指示通りに服用してください。また他の薬と併用すると相互作用が起きることがあります。他に服用しているお薬のある方は医師、薬剤師にご相談ください。
A外用薬
かさかさ型の水虫には液剤かクリーム剤、じゅくじゅくした水虫には軟膏タイプがおすすめです。
ニゾラールクリーム(ケトコナゾール)
マイコスポール液・クリーム(ビフォナゾール)
アデスタンクリーム(硝酸イソコナゾール)
ニゾラールとマイコスポールは1日1回、アデスタンは1日2〜3回塗布します。液剤は主に爪周辺に塗ります。
ボレー液(塩酸ブテナフィン)
メンタックスクリーム(塩酸ブテナフィン)
1日1回塗布します。液剤は主に爪周辺に塗ります。
セパリン液(トルナフタート)
抗真菌薬であるトルナフタートにクロルヘキシジンという殺菌消毒薬が配合されているお薬です。
根気よく治療して、今年こそしっかり完治させましょう!
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