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吹く風に秋の香りを感じる季節となりました。
今回のテーマは アイフレイル です。
2024年9月
フレイルは加齢により心身が老い衰えた状態を指しますが、アイフレイルは「加齢による目の機能低下状態」を指します。加齢に伴う目の衰え、そこに様々な要因が加わることによって目の機能が低下した状態、またそのリスクが高い状態をアイフレイルと呼んでいます。
最初のうちは自覚しないことも多いかもしれませんが、徐々に目の機能に障害があらわれてきます。そのままアイフレイルを放置して重度の目の機能障害に陥ると、回復は難しくなります。それだけではなく、自立機能が低下し、日常生活が制限されて健康寿命を短くしてしまいます。しかし早期に発見できれば、適切な予防・治療が可能となり、進行を遅らせ症状を緩和させることができます。
アイフレイル啓発公式サイトに掲載されている「アイフレイルチェックリスト」でご自身の目の状態をチェックしてみましょう。
■チェックが0の人
健康です。変化を感じたら、またチェックしてください。
■チェックが1つの人
目の健康に懸念はありますが、直ちに問題があるわけではありません。
■チェックが2つ以上の人
アイフレイルかもしれません。一度、眼科専門医にご相談ください。
日本の視覚障害の原因は、緑内障が1位、糖尿病網膜症が3位、加齢黄斑変性が4位です。アイフレイルの症状を緩和したり、見え方を良くするためには、原因となっている状態を判断し、適切に対処・治療を行うことが必要です。
*2位の網膜色素変性は指定難病のひとつで、網膜の細胞に異常が起こる進行性の遺伝性疾患です
様々な原因で視神経が障害をうけ、視野が欠けたり部分的に見えなくなる病気です。眼圧が高いことが発症と進行に深く関係していると考えられています。
■初期
緑内障初期の場合、ほとんどの方が視野欠損を自覚することはありません。片目でみたときにかすむ場所があっても、両目で補い合うことができれば、ほとんど視野が欠損した部分に気かないでしょう。
■中期以降
緑内障中期以降になると、徐々にかすみが強くなりますが、それでも緑内障ではないかと疑う方は、まだまだ多くはありません。片目の視野が極端に狭くなっていたとしても、もう片目の視野が保たれていれば、視野が狭いことに気づくことが遅くなります。
糖尿病患者の約15~40%が網膜症と推定され、60~74歳では失明原因の第1位となっています。高血糖で網膜の血管が障害され、ぜい弱な新生血管が作られます。それらが原因となって眼内出血や網膜剥離が生じます。単純網膜症→増殖前網膜症→増殖網膜症へと進行していきますが、初期には自覚症状がほとんどありません。増殖網膜症まで進行すると、視力低下や虫が飛んでいるように見える、視界にカーテンがかかって見えるなど自覚症状が現れます。
目の奥の網膜には黄斑と呼ばれる部位があり、細かいものの識別をしたり色を見分ける働きを持っています。黄斑の後ろに異常な血管ができて黄斑部が障害されると、周囲は見えるのに細かい部分が見えない、識別できないといった症状が現れます。初期ではものが歪んで見えたり、視野の真ん中が見えにくくなることがあります。しかし、両目で見ていると症状に気付かないこともあるので、片目ずつチェックすることが有効です。
白内障は目の中にある水晶体が濁る病気です。私たちは角膜と水晶体を通った光が目の奥の網膜で結像することで物を見ています。水晶体が濁ると光の通りが悪くなり、物がかすんで見える、ぼやけて見えるなどの症状が現れます。他にも、明るいところでまぶしい、眼鏡の度数が合わない、細かいものが見えない、ものがだぶって見えるなどの症状が出ることもあります。
緑内障や白内障の治療には点眼薬がよく処方されています。緑内障の点眼薬には沢山種類がありますが、進行具合によって複数の点眼薬を組み合わせる場合もあります。
詳しくは、次回のくすりの窓でお話ししますね。