Introduction of Department
心臓は電気のエネルギーを利用して動いています。心臓には自前の発電所の役割をする「洞結節」という部位があり、規則正しく電気を発生しています。洞結節で作られた電気は心房を拡がった後、電気の中継所である「房室結節」を通過して、ポンプの役割を果たす心室へ伝わり脈が作られます。
徐脈をきたす病気は、この洞結節(発電所)あるいは房室結節(中継所)の機能が低下することにより心臓内にうまく電気が伝わらず脈が遅くなるのです。
ペースメーカーは胸部皮下に電池の役割を果たす本体を留置し、心臓内に入れた電線と接続することにより、洞結節や房室結節の代わりに心臓に電気を送り込み心臓をうたせる装置です。
植え込み手術は局部麻酔あるいは静脈麻酔にて行い、1~2時間程度の術時間です。ペースメーカーの電池は最近では10年程度もつことが多く、消耗すれば本体の交換手術が必要です。
不整脈の中でも心室頻拍、心室細動は命に直結する可能性のあるもので致死的不整脈と言います。基礎に心疾患を有し心臓の機能が低下している人に起こりやすいですが、稀に基礎心疾患のない例に起こることもあります(特発性)。このような不整脈が発生した場合、早急に停止させる必要があり、この役割を果たすペースメーカーが植え込み型除細動器(ICD)です。徐脈性不整脈に対するペースメーカーと同様、皮下に本体を植え込み、電線を心臓内に留置し、致死的不整脈を検出した場合は自動的に本体から直流電流を放出し電気ショックを心臓に与えることにより不整脈を停止させます。
心臓のポンプとしての機能を果たす心室は、右脚、左脚を下降する電気により左右均等に収縮し効率よく血液を体に送り出すしくみとなっています。しかし、心臓の筋肉の疾患などで心機能が非常に低下した状態は、左脚などの伝導路が切れてしまったり、心筋そのものが障害されたりして心室の収縮が「振り子」のように左右不均等となり、さらに心臓のポンプ機能を低下させる原因となります。このような心不全に対して、心室の左右に電線を挿入し、ペースメーカーから電気を送り込み左右均等に打たせる様に矯正する治療が心臓再同期療法(CRT)と言います。
心不全の方には致死的不整脈も合併しやすいため、ICDとCRTの両方の機能を備えたペースメーカー(CRT-D)もあります。