Introduction of Department
「肥満」とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態。
肥満の判定には、「体重(kg)/身長(m)2 」で算出される体格指数(body mass index : BMI)が用いられ、わが国では、BMI 25以上を「肥満」と判定します。
そして、「肥満」が原因で健康障害を合併するか、その合併症が予測され医学的に減量を必要とする病態を「肥満症」といい、疾患として取り扱います
肥満症の減量の目標は、「3-6か月で現体重の3%減少」とされています。
現体重より3%減少するだけで、血糖、血圧、脂質尿酸、肝機能が改善することがわかっています。(肥満症診療ガイドライン2022)
また、脂肪性肝疾患を合併することが多いのですが、7-19%以上の減量で肝臓の組織の改善が得られるといわれています。
当院では、2018年9月から6か月間の減量プログラムを開始いたしました。
その内容は、医師の診察に加え、月1回、管理栄養士による栄養指導を3回受けていただき、その後3か月リバウントがおこらないか経過観察、問題なければ修了というものです。
2018年9月から2023年12月の間に減量プログラムに参加されたのは162名でした。その中には、3か月で目標達成し修了される方、途中で通院中断される方、修了後も3か月に1回通院を希望される方などさまざまです。
ここに12か月以上通院された89名の体重減少率の推移を示します。
治療目標である開始時体重の3%以上減少した人の割合は6か月後44%、1年後46%に増加しています。しかし、逆に増加した人の割合も6か月後15%、1年後22%と上昇していました。
これは、栄養指導を受けた直後は減量のモチベーションを維持できるものの、時間経過とともにもとの生活習慣にもどってしまう方がおられるということです。
長年の生活習慣を改善して維持することは本当に難しいことなのですよね。したがって現在は、患者さんの個性にあわせて定期的に栄養指導を継続、支援しています。
また入院が可能な方には、栄養指導プラス理学療法士による運動指導も行う教育入院を勧め、多職種チームで支援しています。
「肥満は万病のもと」「脂肪性肝疾患は、動脈硬化の始まり、全身病」です。
ですから、
「健診で減量するように言われているけどうまくいかない」
「脂肪肝といわれている」そんな方を応援したい。それが私たちの願いです。