くすりの窓 2005.5

じめじめしてうっとうしい梅雨がやってきますね。

天気が悪いと体調を崩しがちですので気をつけましょう。

今回のテーマは、一般用医薬品です。

「医療用医薬品」と「一般用医薬品」違いがわかりますか?

お薬には、お医者さんから直接もらったり、お医者さんの処方せんにより調剤薬局でもらう『医療用医薬品』と、薬局や薬店で消費者が直接購入できる『一般用医薬品(OTC薬・大衆薬)』があります。
いずれにしても、これらのお薬は、「薬事法」という法律に基づき「安全性」「効き目」などについて国の数多くの厳しい審査基準をクリアして、「承認」「許可」されたものです。

医療用医薬品とは?
 
お医者さんや歯医者さんが診察した上で、その患者さんの症状や体質などを考えて出されるお薬です。ですからその患者さんにはよく効いても、他の人には、効き目がなかったり、悪い作用が出ることがあります。

一般用医薬品とは
 
薬局のカウンター越しに購入できる医薬品なので英語の「Over The Counter」の頭文字をとってOTC薬ともいいます。
不特定多数の方に広く効き目があるように作られたお薬で、テレビのコマーシャルで放映されているお薬はこの部類に入ります。

だれでも安心して使えるように、安全性がもっとも重視されているので、その分効き目が弱くなっています。
ただこのように手軽に利用できるお薬であっても、人によっては、副作用が出たり、お医者さんや歯医者さんでもらっているお薬との飲みあわせに注意しなければなりません。


街の薬局でも“強いクスリ”が買えるようになった

ところが、最近はOTC薬(一般用医薬品)の中にも医療用医薬品と有効成分が同じものが見られるようになりました。これをスイッチOTC薬といいます。スイッチOTC薬とは医療用でのみ使用が認められている成分の中で、比較的副作用が少なく、かつ安全性の高い成分について、一般薬(OTC)へ転用(スイッチ)したものです
スイッチOTC薬は、元来医師の診断がなければ使用できなかった薬ですから、効き目は一般薬よりも強く現れます。その反面、副作用や薬の相互作用について注意が必要です。
これらを購入する際に注意して欲しいのは、使用方法や副作用のみならず、病院でもらっている薬がある場合それらとの飲み合わせや重複について十分注意を払う必要があります。
購入する際には、その店の薬剤師によく相談してから服用することが大切です。また症状がよくならなかったり、逆に悪くなった場合は、自己判断で薬を飲み続けるのはやめて、早めに病院で医師の診察をうけるようにしましょう。

スイッチOTC薬のコマーシャル

最近、胃薬のコマーシャルで「使用上の注意をよ〜くよんで」とか「医師、薬剤師に相談して」とかしつこいくらいに強調して言っているのを聞いたことがありませんか?
このお薬はヒスタミン受容体拮抗剤といって胃酸の分泌を抑える薬の仲間なのですが、今まで医療用医薬品で医師の処方箋がないと買えない薬でした。このお薬が登場してからは、胃潰瘍の手術件数を激減させて、胃潰瘍の治療方針さえ変えた画期的な薬です。これがこの度一般医薬品として処方箋なしに買えるようになったわけです。
効果的な薬だけに使用に際して注意しないといけないのですね。
薬のコマーシャルは、薬事法で細かな決まりがあり、とくに効き目のきつい薬については、その留意すべき点を付言するよう定められています。これによって、テレビのコマーシャルの中で「この医薬品の使用上の注意をよく読んでお使い下さい」という内容を、喚起音をつけた静止画面で中央に3秒以上だすように指導されています。
「ピンポーン」という音は視聴者を画面に注目させるための音です。ちなみに、音に関しては、機械音、人間の声、いずれでもよいようなので、タレントが「ピンポーン」と言っているものもありますね。
また、広告基準には他にも虚偽、誇大、医師の保証、乱用助長などを禁止しています。

薬を扱うには、それだけの慎重さが必要ということです。

薬局と薬店の違い

薬のCMなどで、よく「薬局・薬店でお求め下さい。」と言っていますが、「あれ?薬局と薬店って違うの?」と疑問に思った人はいないでしょうか?

●薬局

薬局は一般薬を売るほかに、医師の処方せんをもっていくとクスリの調剤もしてくれます。よって、薬剤師が薬を調剤する調剤室があり、必ず薬剤師がいなくてはならないのです。病院・医院・歯科医院にかかり、処方せんを渡された場合は、近くの薬局に持っていけば調剤してもらえます。
ただし保険薬局でないと保険は適用されませんので「保険薬局」「基準薬局」の看板や「保険調剤します」などの表示があるところに行ってください。

●薬店

一般薬を売るだけで、薬の調合などはできません。薬剤師がいても調剤はやりませんが、薬剤師がお薬について、相談に応じてくれます。
町を歩いていると○○薬局、○○薬品、○○ドラッグストアー、くすりの○○と「くすり」を取り扱う店にもいろいろな名前が付いているのだな〜と気づかれた事は」ありませんか?薬局という名称は、薬局の許可を得たところ以外では、使用できないことになっています。薬店では○○薬局とつける事はできないので、○○薬品、○○ドラッグストアーという名称となります。
どちらで薬を買うにしても薬局や薬店でお薬を購入する場合には、『使用上の注意をよく読んでいただくとともに、薬局や薬店の薬剤師さんによく相談して正しく利用していただくこと』が大切です!

コンビニで薬が買える!

少し前に、新聞などで「コンビニで薬を販売」という記事が話題になりましたね。これまで薬局でしか買えなかった整腸薬などの医薬品371品目が、規制緩和によって「医薬部外品」扱いとなり、コンビニなど一般小売店で買えるようになりました。これらの薬は医薬品に比べて作用が緩やかで、特に薬剤師などによる情報提供がなくても使用できる商品という視点から検討され選ばれたものです。
なお、医薬品販売の規制緩和は平成11年にも行われており、その時はドリンク剤やトローチがコンビニなどで買えるようになりました。今回の規制緩和はそれに続くものです。

今回の規制緩和でコンビニで買えるようになった薬は、「健胃薬」「整腸薬」「瀉下薬(下剤)」など新たに15区分が付け加えられました。 「内服の風邪薬」や「解熱鎮痛薬(頭痛薬)」などは対象外となりました。移行品目には、医薬品と同様に、使用上の注意文書を良く読むことや用法用量を守るといった注意書きを外箱などに表示することが義務づけられています。
便利にはなりましたが、購入する側にも自己責任が生じてきます。薬剤師ないし医師に相談せず自己判断で薬を服用し症状を悪化させたり、何か大きな病気の初期症状を見過ごしてしまうこともあります。その辺を視野に入れて購入するようにしましょう。

セルフメデュケーション


最近、いろいろなところで、セルフメデュケーションという言葉が使われていますが、これは「自分の健康は自分で守る」という考え方で「病気を自分で治す」ということではなく、「病気にならないように健康を維持する」という意味です。
この考え方は、米国から来たもので、米国では保険費用と医療費が高額なため、治療よりもまず予防的観点から健康を考えるというのが主流になっております。日本でも、医療費が膨大になってきたことを踏まえて、この考え方が取り入れられるようになったものです。
なお、注意しなければならないのはセルフメディケーションは、あくまでも「自己判断」と「自己責任」において行うものだということです。
知識・判断力が足りなかったり、間違った知識を得た場合、重大な疾病を見落としたり、間違った治療を受け、症状を悪化させてしまうことも十分予想されます。
重病や重い怪我は、セルフメディケーションの対象ではありません。セルフメディケーションには限界があることを常に認識しておく必要があります。

最近、薬局では、セルフメディケーションを積極的にサポートする為、店員教育や資格制度を実施しています。身近で信用できるかかりつけ薬局を見つけておくと、セルフメディケーションを効果的に実践できるでしょう。


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