くすりの窓 2002.11

土谷総合病院薬剤部では、患者様に、お薬のことや病気のことをよりよく知ってもらいたいとの思いから、「くすりの窓」という機関紙を作ることになりました。
2ヶ月に1度の発行で、毎回いろいろなテーマにそってお薬を紹介していこうと思っています。お薬待ちの時間にでも目を通して下さいね。
さて、記念すべき第一号。いったいなにの特集かといいますと・・・


日に日に寒さが厳しくなってくる季節がやってきました。今回は、皆様におなじみの病気、カゼとインフルエンザについでまとめてみたいと思います。

カゼとインフルエンザの症状の違いは?

一般的に、カゼは、くしゃみ、鼻水の鼻炎症状ではじまり、1〜2日で鼻づまりとなり、のどの痛み、咳などの症状があらわれます。発熱は軽度であることが多いです。かぜの症状は、病原体が呼吸器のどこまで入ってきていて、どこの部位を強く侵しているかによって異なります。
インフルエンザは急激な高熱で発症し、かぜに比べて高熱、悪寒、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感など全身症状が強く出ます。
かぜ、インフルエンザとも、高齢者では、肺炎などを合併し命にかかわる場合もでてくるので油断は禁物です。

原因は?

かぜは大部分がウイルス感染症ですが、ウイルス以外の病原体(マイコプラズマ、細菌等)であることもあります。
インフルエンザはインフルエンザウイルス(A型とB型)による感染症です。

お薬は?

かぜ薬というのは、原因ウイルスに対する薬ではなく、発熱、鼻水、咳などのかぜの症状に対する薬になります。また細菌感染が疑われたり、細菌感染の予防が必要な場合、抗生物質が投与されることもあります。(ウイルスと細菌は別物で抗生物質はウイルスを殺すことはできません!)
インフルエンザウイルスには有効な抗ウイルス剤があります。しかし、発症後2日以内に使用し始めないと効果がありません。

予防するには?

手洗い、イソジンガ−グルなどによるうがいが有効です。鼻やのどの粘膜の抵抗を強くするには、適度な温度(20度前後)や湿度(40〜50%)を保つようにしましょう。疲労や睡眠不足、栄養不足、精神的ストレス等は抵抗力を弱めますので、規則正しい生活が必要です。
またインフルエンザには、ワクチン接種が有効です。成人(10歳以上)では、1回接種で十分な予防効果が期待でき、もし発症しても軽症ですむ効果があります。ただし、ワクチンは毎年流行株を予測して作られるため、予測と異なった場合には、十分な効果が期待できない可能性があります。

実際に当院で処方されているかぜ薬

総合感冒薬(PL顆粒)

熱をさげたり痛みを和らげたりする成分や、鼻水を抑える成分が一緒になっているお薬です。眠気がおきたりのどが乾いたりすることがあります。

抗ヒスタミン薬(ダンリッチ、ポララミン等)
鼻水、くしゃみなどを改善するお薬です。眠気がおきたりのどが乾いたりすることがあります。
解熱・鎮痛・抗消炎薬(ロキソニン、ポンタール、ボルタレン等)
熱をさげたり、のどや関節の痛みを抑えたりするお薬です。頓用(症状がある時のみ)で処方されることがありますが、胃粘膜を荒らしやすい薬なので、できれば食後にのんだほうがよいです。また座薬もあり、のみ薬より効き目が速く、胃への負担も少なくなります。
ただし小児のインフルエンザに伴う発熱には、注意が必要です。インフルエンザ脳炎・脳症にかかった患者に解熱剤を投与すると、死亡率が高くなるというデータがあります。解熱剤の投与は慎重にし、どうしても投与しなければならないときは、より安全だと思われるアセトアミノフェン(当院ではアンヒバ坐薬、ピリナジン散)にすべきであるといわれています。
鎮咳薬(フラベリック、ブロチン水、リン酸コデイン)
咳をおさえるお薬です。ブロチン水は水薬で、毎食後に1メモリずつのむ薬です。冷蔵庫で保管しますが、日持ちしませんので、1週間すぎた場合は捨ててください。リン酸コデインは粉薬です。頓用で処方されることが多いです。便秘になりやすい薬なので、便を柔らかくする粉薬(酸化マグネシウム)と一緒に処方されることがあります。

去痰薬(ムコダイン、ビソルボン)

痰をうすめて出しやすくするお薬です。
漢方薬(葛根湯)

悪寒、頭痛、発熱などのあるかぜの初期に効果のあるお薬です。体表面をあたためることにより汗を出させやすくさせる作用があります。

いかがでしたか?カゼ薬といっても、症状にあわせていろいろな種類があります。これらのお薬をのまなくてもいいように、日頃からうがい、手洗い等おこない予防していきましょう。
またインフルエンザワクチンの接種は当院でも行われています。希望される方は、受診の際、医師、看護師にご相談下さい。(*接種は期間限定で行なっていますのでご注意下さい。)

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