くすりの窓 2004.3
人類が四足歩行から立ち上がり二足歩行をする動物「ヒト」となって以来、腰痛は私たちの生活に深く関わっています。国民の訴える症状の多さに関する国の調査では、全国民1000人あたり93人の割合と、さまざまな症状のなかで一番多いのが腰痛です。
今回のくすりの窓では腰痛に用いられるお薬をとりあげます。腰痛以外の痛みや解熱に対しても広く使われている消炎鎮痛剤の説明をしますので、腰痛もちでない方も読んでみて下さい。
腰痛の種類
内服薬
外用薬
冷シップは保湿性に優れた基材にサリチル酸系の消炎鎮痛剤と天然ハッカ(メントール)などの局所刺激性薬剤が加えられており、基材に含まれる水の冷却効果と冷感成分による効果を期待したものであります。これに対し、温シップは局所刺激性薬剤としてトウガラシエキスなどの温感成分が加えられており、血管拡張、局所循環の改善を目的としたものです。
冷温の区別がなく、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)が患部に経皮吸収されることにより消炎鎮痛効果をもたらすものです。基材の開発により、主薬であるNSAIDがおよそ12時間で均一に放出され、1日1〜2回の貼り替えで十分な効果が得られるようになっています。 インサイドパップには「インドメタシン」、モーラステープには「ケトプロフェン」という成分が含まれています。インサイドパップは、「パップ剤」という水分を多く含む剤形が特徴で、水分による冷却効果が期待できます。また水の濡れを利用した粘着によるため肌にやさしいが、その分はがれやすいといえます。一方モーラステープははがれにくいがかぶれやすいといえます。
「はりぐすりの副作用はかぶれぐらいだ」と思われている方は多いのではないでしょうか?これは誤解です。経皮吸収型鎮痛消炎剤は内服薬として用いられている成分を皮膚から吸収させているので、れっきとした「くすり」なのです。 モーラステープの主成分であるケトプロフェンは光線過敏症を引き起こすことが知られています。光線過敏症とは、健康な皮膚では起こりにくい日光(紫外線)の量でも引き起こされる、皮膚の過敏反応の総称で、異常な日焼け症状、発疹、発赤、水疱などの症状があらわれます。予防するには、貼っている部分を紫外線から守るなどの注意が必要です。戸外に出るときは天候にかかわらず、濃い色の衣服、サポーター等を着用し貼付部を紫外線に当てないでください。またはがした後、数日から数ヶ月たったあとに発現することもあるので、当分の間注意が必要です。
坐剤は、直腸で吸収され効果を発現します。一般的に消炎鎮痛薬は胃腸障害が起こりやすいので、内服薬の場合食直後の内服が望まれます。坐剤の場合、胃腸粘膜への直接刺激が少ないので、食事と関係なく投与が可能です。 坐薬は効果が強い反面、過度の体温低下・血圧低下によるショックを起こすことがあり高齢者など注意が必要です。 坐剤は、初めて使う場合、使用方法がわからないことがあるかもしれません。あるアンケートでは、坐薬を「座って飲む薬である」と答えた人もいたそうです。また、アルミニウムやプラスチックの包装から取り出さずに坐薬を使用した事例もあるそうです。
坐薬の使い方 @無理をしない程度に排便をする A手を洗う B包装から出し、坐薬のとがった方から肛門部に挿入する (冷蔵庫に入れて冷たくなった坐薬は軽く手で暖めたあと、包装から取り出して使用する。やわらかくなりすぎた坐薬は、冷蔵庫に5分程度戻すとよい。) C挿入後2〜3分間はそのままの姿勢を保つ D最後に手を洗う
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