Introduction of Department
日ごと暖かさの増す快い季節となりました。桜の蕾も膨らんで、いよいよ春の訪れが感じられます。
今回のテーマは 薬剤師のしごと(外来編) についてです。
2023年3月
私たち薬剤師が、普段どんな仕事をしているのか?
今回は、当院外来で患者さまにお薬をお渡しするまでの流れをお伝えします。
当院では、院外処方せんを発行していません。そのため、当院で処方されたお薬はすべて院内薬局にて調剤・鑑査をおこない、薬局窓口にて患者さまにお渡ししています。
お薬が患者さまに渡るまでには、さまざまな過程を経ています。それぞれの工程でどのようなことがおこなわれているのか紹介します。
■お薬ができるまでの流れ
診察後、医師が患者さまの状態を考えて処方を決め、電子カルテから薬局に送られます。処方せんを書く権利 (処方権)は、医師のみが持っており、私たち薬剤師にはありません。
医師から送られた処方せんが薬局に届いた後、処方せんの内容が適正かどうか確認をおこないます。
確認項目の例としては...
【処方せんの内容からわかること】
【電子カルテシステムからわかること】
前述の「2.処方鑑査の段階」で、処方内容に不明点や重複投与、相互作用などがある場合には処方医に問い合わせをします。これは法律でも決められており、薬剤師法第24条において「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。」と定められています。
日本薬剤師会の調査によると、ある年の処方せん発行枚数に対する疑義照会は約2.6%(処方せん約39枚に対して1枚)、そのうち処方変更となった割合は約75%(疑義照会をおこなった処方せん約4枚に対して3枚)です。また、重篤な副作用が回避できた事例は5.1%(疑義照会をおこなった処方せん約20枚に対して1枚)となっています。
割合でみると少なく感じられるかもしれませんが、調査がおこなわれた年は1年間で7億8千万枚以上の処方せんが発行されています。この数字から換算すると、重篤な副作用の発生を1年で103万件近く回避している計算になります。
処方せんをもとに、お薬を準備します。
調剤されたお薬が処方せんの内容通りか、処方せんの内容が正しいか、など調剤した薬剤師と異なる薬剤師が最終確認をおこないます。
薬局窓口では、電子カルテの情報と照らし合わせ必要に応じて説明書を用いてお薬の説明をおこなっています。また、お薬手帳をお持ちの患者さまについては、手帳ラベルをお渡し、他院から処方されている薬との相互作用などもあわせて確認をおこなっています。
ご紹介した通り、私たちの仕事は処方せんを見てただ薬を渡す業務ではありません。患者さまに薬が渡るまでにはさまざまな工程があります。そのため、一つひとつの工程を丁寧確実におこなうためには想像以上に時間がかかる場合があります。
患者さまの安全と安心のため、日々業務をおこなっておりますので、何卒ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。