Introduction of Department
新緑のきれいな季節になりました。気温もぐんぐんあがって夏の気配が感じられる今日このごろです。
今回のテーマは 薬剤師のしごと(入院編) についてです。
2023年5月
当院の入院病棟には各病棟につき薬剤師1名が常駐しています。病棟薬剤師の仕事について紹介していきます。
入院時には、患者様が普段服用されているお薬やお薬手帳を持参していただき、病棟薬剤師が確認します。入院にあたって、年齢や体重、腎機能等から適切な薬剤が使用されているかを判断し、また手術など処置の前に中止する必要がある薬の確認を行っています。
また入院時には、病棟薬剤師が直接患者様との面談を実施しています。ご自宅でのお薬の管理方法や、内服忘れの程度、過去のお薬アレルギー、サプリメントや市販薬の使用状況などを確認させていただいています。また、特に注意が必要なお薬に関しては、副作用など、変わった症状が出ていないかもお尋ねするようにしています。
入院中は、外来と比較してお薬の変更や量の調節が頻繁に行われます。医師が患者様の状況をみて、お薬を適宜変更しますが、薬剤師は、その都度お薬の飲み合わせや量など、年齢・性別・体重・検査値等から適正であるかを確認しています。
入院中は、内服薬だけでなく、注射薬が処方される場合もあります。注射薬も、内服薬と同様に適正な量であるか等判断するほか、投与速度にも注意しています。
入院中は、基本的に週一回程度、薬剤師がベッドサイドに伺い患者様との面談を行います。新しく始まった薬の説明や、使用しているお薬の効果が出ているか、副作用は出ていないかの確認を行います。また食事摂取や排便状況、睡眠状況などの把握にも努めます。面談のなかで、患者様から薬に関する要望や、薬剤師として気になる点があれば、医師や看護師に情報提供を行っています。
退院時には、退院後に服用するお薬を患者様に説明します。入院前と変更があった点については特に注意して説明し、お薬手帳に処方内容、入院中のお薬の経過を記載します。退院されてからの内服管理方法の確認や、起こり得る副作用の説明も行います。
病棟薬剤師だけでなく、病院薬剤師の仕事について少しご紹介します。
当院では、薬局の無菌製剤室で、中心静脈栄養*と抗がん剤を薬剤師が調製しています。特に正確で衛生的な作業が求められるためです。
*中心静脈栄養:嚥下機能の低下などから長期間食事を口から摂取できない場合に、鎖骨下あたりの太い静脈から注入する高濃度の栄養剤のこと
病院では、医師や看護師をはじめとし多くの医療スタッフが在籍しています。チーム医療とは、複数の職種が各々の専門分野で活躍し、また連携しながら、治療やケアに取り組むことです。
当院での薬剤師が所属する主なチーム医療について紹介します。
■DST(認知症ケアサポートチーム)
認知症の患者様に対して、入院中の症状悪化を予防し、身体疾患の治療を円滑に受けられることを目的とし活動しています。薬剤師は、治療薬の整理や、適切な薬物投与の提案を行っています。
■ICT(感染対策チーム)
病院の清潔な療養環境を保持し感染を防止することで、患者様及び職員を感染から守ることを目的として活動しています。定期的に感染対策のチェックと指導を行っています。
■AST(抗菌薬適正使用支援チーム)
抗菌薬の不適切な使用や長期間の投与は、抗菌薬が効かない(薬剤耐性)微生物を発生、蔓延させる原因となり得ます。それらを防止するために、抗菌薬の適正使用の徹底を目的として活動しています。
■NST(栄養サポートチーム)
入院中十分な食事が取れない患者様に対して、栄養評価や栄養管理について他職種が意見を出し合い検討し、適切な栄養管理を目的として活動しています。栄養状態の改善は、疾患の予防効果を高めることや合併症を予防することにも繋がります。
今回は病院薬剤師の仕事についてご紹介させていただきました。
院内では、入院から退院まで患者様にとって安全かつ効果的な治療が実践できるよう、薬剤師として日々業務に取り組んでいます。