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木々の葉も見事に色づく季節となりました。
今回のテーマは 正しい薬の飲み方 についてです。
2023年11月
薬の効果は、薬の用法用量をきちんと守ることで、安全に、最大限発揮できます。
"飲む方法" や "飲むタイミング" を読んで、一度確認してみましょう。また服薬が難しい方は "服薬お助けグッズ" を参考にしてみて下さいね。
一般的に飲み薬は、コップ1杯程度(約200cc)の水、又はぬるま湯で飲むように作られています。ただし、一緒に飲む水の量が決まっている薬もあるので、ご自身の薬に合わせて水の量は調節してくださいね。
■水の量が少ないと...
薬の吸収が低下したり、遅くなったりして、薬の効き目が悪くなることがあります。
■水無しで飲むと...
薬が溶けにくいので、吸収が遅れて薬の効き目が悪くなったり、場合によっては溶けずに便として出てしまうこともあります。
また、喉や食道に引っかかったり、くっついたりすることがあります。そうすると、その場で溶けてしまうことで、食道潰瘍を起こしてしまう場合もあります。
※OD錠など口の中で溶けるように設計された薬は、水無しで飲んでも問題ありません。
■清涼飲料水や牛乳の場合
清涼飲料水や牛乳などで薬を飲むと、一般的には薬の吸収が遅くなったり、低下したりして、薬の効き目が悪くなる事があります。
■グレープフルーツジュースの場合
薬が効き過ぎることがあります。ジュースだけでなく、グレープフルーツを食べても同様で、この作用は3日ほど続く場合があります。
■アルコールの場合
アルコールで薬を飲むと、薬が効き過ぎたり、効き目が悪くなったり、予期せぬ副作用を引き起こす事があるため、薬は絶対にアルコールと一緒に飲まないでください。また、市販の栄養ドリンク剤もアルコールを含んでいることがあるので、注意が必要です。
■お茶の場合
お茶に含まれる「カフェイン」によって、薬が効き過ぎたり、効き目が悪くなったりする事があります。緑茶などに多く含まれる「タンニン」が、鉄分を補う薬に影響を及ぼすと言われていましたが、最近の研究結果では、それほど心配する必要はないと報告されました。麦茶やそば茶など、薬と一緒に飲んでも問題ないお茶もありますが、苦味が強く感じられる味の濃いお茶で薬を飲むのは避けた方が良いでしょう。
■ミネラルウォーターの場合
硬度が比較的低い「軟水」であれば、問題ありません。日本の水道水は一般的に軟水です。しかし、硬度が比較的高い「硬水」はミネラル量が多く、薬の効き目に影響を及ぼすため、硬水での服薬は避けた方が良いでしょう。
※硬度120mg/L以上:硬水、120mg/L未満:軟水
薬を飲むタイミングには、それぞれ理由があります。正しいタイミングで薬を飲まないと薬の効果が出なかったり、副作用が現れたりすることがありますので、決められた服用タイミングを守りましょう。
起床時
朝起きてすぐに飲んでください。
食前
食前は胃が空っぽの状態です。食事の約30分前に飲んでください。
次のような薬は食前に飲むと最も効果を発揮します。
食直前
食事のすぐ前「いただきます」のタイミングで飲んでください。
食直後
食事が終わったすぐ後「ごちそうさま」のタイミングで飲んでください。
食後
多くの薬が食後に飲むようになっていますが、食事を終えてから約30分以内に飲んでください。
次のような薬は、食後に飲むと最も効果を発揮します。
食間
食事を終えてだいたい2時間位経った頃に飲んでください。
※食事の最中に薬を飲むということではありません。
寝る前
就寝約30分前に服用してください。
ただし、寝つきを良くする薬は寝る30分前に飲むと、めまい、ふらつきが出て、ベッドに入るまでに転倒する危険がありますので、寝る直前に飲むようにしてください。
頓服
「頓服(とんぷく)」の薬は指示された症状が出たときにだけ飲んでください。
「疼痛時」、「発熱時」、「不眠時」、「便秘時」など、薬の袋に書いてある用法・用量をしっかり守って飲んでください。
服用タイミングと薬の血中濃度
薬は、一定の血中濃度(血液の中の薬の濃度)がある時に効果を発揮します。それより低いと効果が現れず、高すぎると副作用などの心配があります。
薬を飲んでから時間が経つと、薬の血中濃度はだんだん下がってきます。これが下がりきらないうちに次の薬を飲むことによって、血中濃度を一定レベルに保つことができるのです。特に喘息や不整脈の薬などは血中濃度を一定に保つ必要があります。
こうした意味からも服用時間を守り、規則正しく薬を飲むことが大切です。ただし、飲み忘れたから次の時にまとめて2回分を飲むというのは、血中濃度が上がりすぎて危険な場合がありますので、しないようにしましょう。
「薬を飲み込みにくい」「(子供が)薬を飲んでくれない」といった、悩みを持つ方は多くいらっしゃると思います。そんな方におすすめなのが、オブラートや服薬補助ゼリーです。
でんぷんで出来た食べられるフィルムです。水に溶けやすく、安全な食品です。丸型や角型のシート状や袋状になった服薬用のオブラートがあります。
ほとんどの薬に使えますが、味やにおいの刺激で胃の働きを良くする「苦味健胃薬」には使わない方がいいとされています。
※当院採用の苦味健胃薬:NIM配合散
<使い方>
薬をゼリーで包み込んで服用する服薬専用のゼリーです。のどにつまらず、むせずに服薬できます。ほとんどの薬に使えますが、リベルサス錠(糖尿病薬)、ビスホスホネート製剤(骨粗鬆症薬/当院採用薬:ボナロン錠、ミノドロン酸錠)に使うと、薬の効果に影響を与える可能性があるため、使わないよう注意してください。
服薬補助ゼリーを選ぶ際に、いくつかポイントがあります。
<使い方>
※カレースプーンや大きいスプーンだと一口で飲み込めない場合があるので、ティースプーンがおすすめです。
ご自身にあった方法を見つけて、薬を正しく飲みましょう!
薬に関して疑問に思っておられる事や、薬の飲み方について相談したい事がありましたら、お気軽に薬剤師に相談してください。