土谷総合病院では、心臓手術に対して小切開手術も行っています。

はじめに

心臓手術は全胸骨を縦に切開する胸骨正中切開が標準ですが、胸骨を全切開すると約3ヶ月間、10㎏以上の重いものが持てなかったり、激しい運動が困難であったりします。3ヶ月以降、運動制限は基本的に解除されますが、若い方は社会復帰までに時間を要し、年配の方は日常生活復帰までに時間を要するデメリットがあります。

土谷総合病院では、患者さんの身体に合わせて可能なら小切開手術を行っています。ただし、術前検査で小切開法では危険性が高いと判断したり、複雑な病変で小切開では困難と判断したりした場合は、従来の胸骨正中全切開方法で行います。小切開心臓手術の非適応になる多くの理由は、胸郭異常や動脈性状不良などです。病態に合わせてよりメリットの多いアプローチ方法を患者さんとともに検討しています。

小切開心臓手術の対象疾患は、先天性心疾患・弁膜症手術・冠動脈バイパス術などです。術前CT検査に基づいて、右もしくは左の第3〜5肋間のいずれかを小開胸して、胸腔鏡補助下に心臓手術を行っています。人工心肺は多くの場合、鼠径部から送血管・脱血管を挿入して、確立します。

僧帽弁形成術 / 置換術に対する右小開胸手術

僧帽弁・三尖弁・大動脈弁や心房中隔欠損症・心房腫瘍などの疾患の方は、右小開胸手術となります。

冠動脈・肺動脈弁に対する左小開胸手術

冠動脈や肺動脈弁疾患の場合は、左開胸での手術になります。