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〝腹部大動脈瘤″といわれてもなかなか聞きなれませんが、お腹にある大きな血管である腹部大動脈にできる瘤(こぶ)のことです。
なぜ瘤ができるのでしょう?動脈硬化が一番に考えられます。これはカロリーや塩分の高い食事・喫煙等の生活習慣により、動脈に起こる変化です。特に高血圧・高脂質・高尿酸血症・糖尿病の病気のある人は動脈瘤のリスクが高くなります。
瘤があるとなぜいけないのでしょう?治療しないと、徐々に多きくなり破裂してしまいます。破裂するまでは痛みもほとんどなく、瘤があっても気付かない場合も多いです。しかし、瘤が破裂してしまうと大出血をきたし、病院までもたなかったり、病院についても手術室までもたないことも度々あります。
どういった瘤が破裂するのでしょう?瘤の大きさ、拡大の速度、形、壁の構造等で、ある程度は判断できます。
大きな瘤ほど破裂がしやすく、1年の破裂率はおおよそ、大きさが5cm以下のものでは約1%、5~6cmでは5~10%、6cm以上では10~25%といわれております。6cm以上では5年以内に半分以上の人が破裂してまうということになります。
さらに、瘤はどんどん大きくなり、大きな瘤ほど大きくなりやすいといわれています。5cmの瘤が5年後も5cmのままということはあまりありません。
もちろんこれだけでなく、高血圧・喫煙等の様々な理由で破裂の危険は高まります。
一度大きくなってしまった瘤は薬では元の大きさには戻りません。瘤の根本的な治療には手術が必要となります。手術適応は一般的に大きさが4~5cm以上です。
瘤の部分を人工血管で取り換える人工血管置換術と、瘤の内部に人工血管を入れて覆ってしまうステントグラフト挿入術があります。
腹部大動脈瘤を認める患者さんには心臓血管外科を受診いただいております。
CT検査を施行し、瘤の存在を確認し、ステントグラフト挿入術による治療が可能かどうかを判断いたします。
手術方法に関しては患者さんの希望をうかがい、ステントグラフト挿入術・人工血管置換術のいずれかを選択します。
■ステントグラフト挿入術
ステントグラフト挿入術は放射線科と心臓血管外科の合同でおこないます。食事は手術の翌日から開始となります。入院期間は手術の施行日から5~10日程度です。
■人工血管置換術
人工血管置換術は心臓血管外科でおこないます。食事は手術の2日後から開始となります。入院期間は手術の施行日から6日~15日程度です。