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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

若葉青葉をわたる風も快く感じられ、初夏を思わせる陽気になりました。そして、今年も半分が過ぎて行きます。はやいものですね。

今回のテーマは、逆流性食道炎(むねやけ)です。

2007年05月

逆流性食道炎(むねやけ)とは?

逆流性食道炎(むねやけ)は、食道に胃酸が逆流して食道の粘膜を傷つけることで起こる炎症です。

どんな人に起こりやすい?

「むねやけ」が起こりやすい人には、脂肪分の多い食事をとる、高齢である、胃の手術を受けたことがある、肥満や妊娠・背中の曲がりなどでおなかが圧迫される、などの傾向があります。また、最近では胃潰瘍の人がピロリ菌除去治療で治った後、胃酸分泌が活発になることで、むねやけを訴えることがあると言われています。

こんな症状はありませんか?

みぞおちの辺りから胸の下のほうへかけて、焼けつく、あるいは、熱くなるような不快感がある。のどのほうまで上がってくる感じがあり、痛みをともなう場合もある。その他の症状としては、呑酸(どんさん)・げっぷ、胸の痛み、胃もたれ、のどの違和感、咳・気管支炎、耳の痛みなどがあります。

※呑酸(どんさん):酸味のある胃液が口の中にまで逆流する現象

どこで診てもらえばいいのでしょう?

逆流性食道炎かな?と心配になったら、内科、胃腸科、消化器科を受診するといいでしょう。

むねやけを決して軽くみてはいけません

「むねやけ」だけでなく、胃のもたれ、胸の痛み、のどがおかしいなどの症状があったら、早めに医師の診察を受けましょう。ひとりで心配に思っていたり、自分で判断するのはよくありません。むねやけ、つかえ感、胸痛という症状は、逆流性食道炎のほかに食道がんや胃がんなど怖い病気の症状と似ています。思いあたる症状のある人は、一度、医師の診察を受けてみてはどうでしょう。

治療は薬物療法が中心

「逆流性食道炎(むねやけ)」の治療は、薬物療法が中心となります。原因となる胃酸の分泌を抑える薬をはじめ、粘膜保護剤、胃酸を中和するなど、使われる薬は大きく4つに分類されます。

胃酸の分泌を抑える薬

逆流性食道炎の直接の原因は胃酸。そのため、薬によって分泌される胃酸の量を抑え、食道への逆流を少なくします

粘膜保護剤

食道・胃などの粘膜を保護します

胃酸を中和する薬

速効性はありますが持続性はなく、いったん中和しても胃酸が次々と分泌されるので効果は15〜30分程度です

消化管の運動機能を改善する薬

食道や胃の弱ったぜん動運動を回復させ、逆流してきた胃液を胃へ押し戻す機能を高めます

生活習慣の改善

胃酸の逆流を防ぐには、食生活、姿勢、腹圧が大きな3つのポイントです。胃酸の逆流が起きやすい状況は、それぞれ個人によって違います。毎日の生活で自分にあった食生活や姿勢を工夫すると効果的です。

大食をさけ、刺激の強い食べ物は控えめに
  • 食事は一度に食べ過ぎず、ゆっくりと。急いで食べると空気も一緒に飲み込んでしまい、胃をふくらませるためにげっぷが出やすくなります。また、過食や飲み過ぎも腹圧を高め、胃酸の逆流の原因となります
  • お酒は噴門(ふんもん:食道から胃になる部分、つまり胃の入り口)を緩めます。とくにビールやシャンパンは、胃のなかで炭酸ガスが多量に発生し、胃をふくらませます
  • タバコは唾液分泌も減らします。控えめに
  • 脂肪の多い食事は胃にもたれて、胃酸の逆流を起こしやすくします
お腹を強くしめつけない
  • ベルトや帯、コルセットはゆるめにします
  • 肥満や便秘をさけましょう
就寝は頭の高い姿勢で
  • 横になると「むねやけ」がする場合は、枕や座布団を重ねて、上体を高くして休みます。また、食後すぐに横にならずに、座って過ごすようにするとよいでしょう
  • 就寝直前の食事はさけます
なるべく腰をのばして

腰の曲がった状態、前かがみなど、胃を圧迫する無理な姿勢はできるだけ続けないようにしましょう

その他、ストレスの解消も有効です

生活習慣病予防のためにも、バランスの良い食事を腹八分目に摂るよう心がけ、個人の体調に合った適度な運動をしましょう。また、気になる症状があれば、医師の診察を受けましょう