青空のまぶしい日々となりました。外出時の紫外線にご注意ください。暑さにめげず、夏を乗り越えましょう。
今回のテーマは、食中毒です。
2007年07月
食中毒が多い季節
食中毒は6月〜8月に多く発生します。この時期には、湿度や気温が高いので、細菌が増えやすくなります。このため、細菌による食中毒が多く発生します。近年、冬の12月〜1月にも食中毒が多く発生しています。これは寒い季節の方が起こりやすいノロウイルスなどウイルス性の食中毒によるものです。また、冬でも暖房で部屋の中が温かいので、細菌性の食中毒にも注意が必要です。春や秋にも食中毒は起こっていますので、1年を通じて注意が必要です。
食中毒を起こす主な細菌
食中毒を起こす主な細菌についてお話します。
サルモネラ
原因になりやすい食品は?
加熱不足の卵・肉・魚料理など。具体的には、生卵・オムレツ・自家製マヨネーズ・洋生菓子・牛肉のたたき・レバ刺などがあります。害虫やペットが、菌を食品に付けてしまうこともあります。
特徴
熱に弱い。低温や乾燥に強い。菌の量が少なくても感染し、食中毒を起こすこともあります。
予防ポイント
- 熱に弱い。低温や乾燥に強い。菌の量が少なくても感染し、食中毒を起こすこともあります
- 生の卵・肉・魚介類など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱しましょう
- 害虫の駆除はもちろん、ペットが食品や食器にふれないようにしましょう
カンピロバクター
原因になりやすい食品は?
加熱不足の肉(特に鶏肉)や生の牛レバーを食べると症状が出ることがあります。殺菌されてない井戸水や湧き水なども原因になります。子どもはペットからこの菌に感染することがあります。
特徴
熱に弱い。空気にさらされると菌は死滅しますが、10℃以下のところでは生き続けます。学校給食や修学旅行などでの集団感染がよくみられます。菌の量が少なくても感染し、食中毒を起こすこともあります。
予防ポイント
- 生の肉など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱しましょう
- 殺菌されてない井戸水や湧き水などは飲まないようにしましょう
- ペットと遊んだ後は手を洗い、ペットが食品や食器にふれないようにしましょう
腸炎ビブリオ
原因になりやすい食品は?
魚介類の刺身や寿司などが原因になりやすいです。
特徴
この細菌は海水や海中の泥に潜み、夏になると集中的に発生します。ただし、熱に弱く、100℃では数分で死滅し、5℃以下ではほとんど増殖しないという性質があります。塩水に強く、真水に弱い。増えるスピードが早い。
予防ポイント
- 調理の際は、魚介類を流水でしっかり洗いましょう
- 生の魚介類など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱しましょう
- に魚介類を生で食べるときは特に注意し、食べる直前まで冷蔵庫で保存しましょう
腸管出血性大腸菌O157
原因になりやすい食品は?
加熱不足のハンバーグ、肉などが原因になりやすいです。殺菌されてない井戸水や湧き水なども原因になります。生野菜が原因になることもあります。
特徴
熱に弱い。菌の量が少なくても感染し、食中毒を起こすこともあります。毒力の強いベロ毒素が作りだされて溶血性尿毒症症候群などの合併症を引き起こす。
予防ポイント
- 生の肉など加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱しましょう
- 生野菜はよく洗ってから食べましょう。ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗いましょう
黄色ブドウ球菌
原因になりやすい食品は?
この菌はヒトの皮膚、鼻や口の中、傷口、髪の毛などにいます。しかし、この細菌が食中毒を起こすのは、汚染された食品の中で毒素を作るときだけです。手作りの食品などが原因になります。具体的には、おにぎり、いなりずし、巻きずし、弁当、調理パンなどがあります。ほとんどの場合、菌が調理する人の手から伝わって食品に取り込まれます。特に、調理する人の手や指に傷や湿疹があったり、傷口が化膿しているような場合は、食品を汚染する確率が高くなります。
特徴
菌は熱に弱いのですが、菌が作る毒素は熱や乾燥にも強いので、一度毒素ができてしまうと、加熱しても食中毒は防げません。酸性やアルカリ性が強いところでも増殖します。食中毒だけでなく、傷口を化膿させる性質があります。
予防ポイント
- 手にケガをしている時は、手袋をしたり、傷が食品に直接ふれることのないよう十分注意しましょう
- 調理前は、よく手を洗いましょう
- 食品は冷蔵庫に入れて、菌が増えないようにしましょう
- 髪の毛やつばが食品に入らないように気を付けましょう
- おにぎりを握るときにラップを使うと菌が付きにくく衛生的です
食中毒予防の三原則は、食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」
お買い物〜調理
- 買いものから帰ったら、表示を確認して、冷蔵や冷凍の必要な食品は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう
- 細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、ー15℃では増殖が停止しています。しかし、冷蔵庫や冷凍庫で細菌が死滅する訳ではありません。早めに使いきるようにしましょう
- 包丁やまな板を使うときは、先に生野菜などの加熱しない食品を切り、生の肉や魚介類はあとで切りましょう
- 生の肉や魚介類にさわった包丁やまな板は、使い終わったらすぐに、洗剤をつけてよく洗いましょう。洗った後、熱湯をかけると消毒効果があります
- 冷凍された食品は、料理に使う分だけ解凍し、解凍が終わったらすぐ調理しましょう。冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖したりする場合もあります
- 加熱が必要な食品は、中心まで十分に加熱しましょう。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです
- 料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び調理をするときは、十分に加熱しましょう
食事〜後片付け
- 調理したものは、なるべく早く食べましょう。全部食べられないと思ったら、箸を付ける前に別の容器や食器に取り分けて、フタやラップをしてから冷蔵庫に入れましょう
- 食後の食器や調理器具は、放っておかず、できるだけ早く洗いましょう。水に浸して置いておくと、余計に細菌が繁殖してしまいます
- タオルやふきんは、清潔な乾燥したものを使いましょう
- 食器や調理器具を洗う際に使ったスポンジやたわしなども、使った後すぐに洗剤と流水でよく洗い、乾かしましょう
- 包丁やまな板などの調理器具、スポンジ、ふきんなどは、洗った後、熱湯または漂白剤などを使って消毒しましょう。スポンジ・たわしは、洗った後、煮沸すると消毒効果が上がります
毎日の注意
- 手洗いは基本です。石けんを使って手をよく洗いましょう
- 調理する場所だけでなく、流しや三角コーナーも毎日きれいに洗い、清潔な状態にしておきましょう
- 冷蔵庫の中や周辺を定期的に掃除しましょう
- 残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう
- 中には熱に強い毒素や細菌があるので、加熱だけで大丈夫というものではありません。この場合は食中毒菌を「つけない」「増やさない」の対応が重要になります
- カビの生えた食品は、食べないようにしましょう。カビの部分を取り除いて食べる方もいるようですが、目で確認できる部分がなくなったに過ぎません。カビの中には健康に悪いものや品質を悪くさせるものがありますので、カビの生えた食品は思い切って捨てましょう
- 食品がちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。口に入れるのは、やめましょう