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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

肌にふれる風も快く感じられる季節となりました。日増しに春めいてきましたね。春といってもまだ寒い日がありますので、体調をくずさないように気をつけて下さい。

今回のテーマは、花粉症です。

 

2008年03月

花粉症ってどんな病気?

花粉症は、植物の花粉によって起こるアレルギー性の病気です。 樹木や草花の花粉が飛ぶ季節に、花粉が目や鼻の粘膜に付着することで症状が現れます。

原因となる植物は様々ですが、その代表的なものはスギです。

花粉症は、遺伝的な体質、住環境、食生活などの様々な要因が重なって起こります。

どんな症状が現れるの?

鼻、目、のどなど「首から上」の症状が主ですが、熱感や倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。

〈主な症状〉

くしゃみ/鼻水/鼻づまり/目・のど・顔や首の皮膚のかゆみ

〈その他の全身症状〉

集中力の低下/だるい/熱っぽい/倦怠感/イライラする

花粉症の症状が現れるしくみ

人間のからだには、体内に侵入しようとした外敵を取り除こうとする働きが備わっています。たとえば、鼻水で洗い流そうとしたり、くしゃみで外に吹き飛ばそうとしたりします。ただ、人によっては、ある特定の異物に入ってこられると、この働きがいきすぎて過剰な反応(アレルギー反応)を起こします。花粉症は、からだに侵入した花粉を、敵と認めて反応してしまう過敏な体質の人に起こるのです。

日常生活での注意

1.外出をするときは
マスク、眼鏡、帽子をかぶりましょう

一般にスギ花粉は気温の上昇とともに飛び始めますので、外出をするなら午後ではなく、午前中にしたほうがよいでしょう。特に晴れて風が強い日は花粉の飛ぶ量が多くなるので注意しましょう。

2.花粉を部屋にもちこまない
帰宅したら髪や肌・衣服についた花粉をよく払い、うがい、手洗い、洗髪をしましょう

掃除は花粉の飛ぶ量が少ない朝早くに行い、昼は窓の開け閉めを少なくしましょう。花粉は乾いているので、ぬれぞうきんやモップなどで拭き掃除をするとよいでしょう。洗濯物も出来れば室内に干し、布団はよく払ってから取り込むようにしましょう。

3.規則正しい生活

不規則な生活は自律神経が乱れて免疫機能が正常に働かなくなり、症状が強く出やすくなると言われています。ストレスを避け、充分な睡眠をとるようにしましょう。また、お酒の飲みすぎも鼻づまりを悪化させる可能性があります。

4.衣類

花粉の付きにくい衣類、さらさらした材質のものが適しています。羊毛など毛織物の衣類は花粉が付着しやすく、花粉を室内に持ち込みやすいので注意しましょう。

5.マスクの選び方
・素材

不織布とガーゼがあります。不織布はガーゼに比べて繊維が密にかつ不規則に並んでいるため、ガーゼマスクより花粉が付着しやすいという利点があります。しかし、ガーゼマスクも最近はフィルターを入れて花粉を捕らえる工夫をしているものもあるようです。

・顔の形にフィットするもの

顎、鼻、頬は「すきまゾーン」といわれ、マスクを装着してもそのすきまから花粉が入ってしまいます。今は立体型やワイヤー入りのものなど様々なマスクが出ていますので、色々試してフィットするものを選びましょう

・値段は関係ない

値段が高いマスクだから花粉除去率がよく、かつ吸収しやすいことはない、というデータが出ています。鼻水がマスク裏に付着しますので、衛生面からは使い捨ての方がよいとされています。

花粉症の治療

現在、花粉症治療の中心は薬物療法です。最近では、症状が出る前から治療を始める初期療法(予防的治療法)が用いられるようになってきました。これは花粉が飛び始める1〜2週間前から予防的に薬を飲み始める治療法で、症状の出る時期を遅らせたり、花粉がたくさん飛ぶ時期の症状を軽くする効果もあります。

花粉症の症状のタイプと重症度によって、使用する薬剤を決めます。抗ヒスタミン薬、サイトカイン阻害薬、ステロイド薬など様々な薬物療法があります。なかには副作用として多少の眠気を伴うものもあるため、症状や生活スタイルにあわせて医師や薬剤師と相談をしながら、自分にあった薬を使用するとよいでしょう。 また、飲み薬だけでなく、局所的に使う外用薬も使われます。正しく使用しなければ、薬効が充分に期待できなかったり、全身性の副作用が現れる可能性もあるので、医師の指示通り使用しましょう。

当院で出されている花粉症の治療薬

内服薬
★抗ヒスタミン薬(アレジオン、アレロック、クラリチンレディタブ、セルテクトなど)

様々なアレルギー症状を抑えます。抗ヒスタミン薬は特に「くしゃみ」と「鼻水」の抑制に効果があります。しかし、「鼻づまり」には効果が弱いのが欠点です。

また、眠気・口渇などの副作用が現れることがあります。車の運転や危険な作業には注意して下さい。

★ステロイド薬と抗ヒスタミン薬の合剤(セレスタミン)

抗炎症作用が強く、他の薬では抑えられない重症の場合に使われます。

★抗ロイコトリエン薬(オノン)

抗ヒスタミン薬での効果が弱い、「鼻づまり」に対して効果が強いという特徴があります。

★サイトカイン阻害薬(アイピーディ)

様々なアレルギー症状を抑えます。

★漢方薬(小青竜湯など)

抗ヒスタミン薬で起こりやすい眠気などの副作用がありません。

外用薬(点鼻薬)
★局所ステロイド点鼻薬(アルデシンAQネザール、フルナーゼ点鼻薬)

鼻の炎症やアレルギーを抑えます。即効性があり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの全症状に有効です。体の中に吸収されにくく、されたとしてもすぐに分解されるため、ステロイドといっても全身的な副作用はほとんどありません。

★抗ヒスタミン点鼻薬(ザジテン点鼻薬)

鼻のアレルギーを抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状を改善します。

★抗アレルギー点鼻薬(インタール点鼻薬)

鼻のアレルギーを抑え、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状を改善します。

★血管収縮性点鼻薬(トーク点鼻薬)

粘膜が腫れて起こる鼻づまりに有効です。鼻づまりの症状が強いときに使用します。過量・頻回に使用すると薬が効かなくなり、かえって腫れが激しくなってしまうことがあります。これを薬物性鼻炎といいます。医師の指示通り使用して下さい。

外用薬(点眼薬)
★抗ヒスタミン点眼薬(リボスチン点眼薬)

眼のかゆみなどのアレルギー症状を和らげます。

★抗アレルギー点眼薬(インタール点眼薬)

眼のかゆみなどのアレルギー症状を和らげます。

★ステロイド点眼薬(フルメトロン点眼薬)

眼の炎症やアレルギー症状を和らげます。眼圧の高い人は使用できません。

花粉症は、花粉が本格的に飛ぶ1〜2週間前から自分に合った薬物療法を始め、身体や服に花粉を付けないようにするセルフケアを行うことで症状を和らげることができます。花粉症は長く付き合う病気なので、自分に合う方法を見つけ、上手に付き合っていくようにしましょう。