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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

青空のまぶしい日々となりました。暑さにめげず、夏を乗り越えましょう。

今回のテーマは、日焼けについてです。

 

2008年07月

紫外線って何?

太陽光線は、目に見える光「可視光線」の他に、赤外線や紫外線という光を含んでいます。このうち紫外線は、地表に届く光の中で最も波長が短い光線で、3種類あります。オゾンなどの大気層で吸収され、地表に到達しない「UV−C」、一部が地表に到達し、皮膚や目に有害な「UV−B」、長時間浴びると、健康への影響が心配される「UV−A」です。

紫外線には体内のビタミンDをつくるはたらきがあるため、日光浴が体によいとされていた時代もありました。しかし、最近では1日15分間日光にあたれば、必要なビタミンDは生成できるとされています。 さらに、近年は大気中に排出されたフロンにより、上空の成層圏にあるオゾン層が破壊されつつあります。そのため、有害な紫外線が地上に到達し、皮膚がんの発生など、健康へのさまざまな影響が懸念されています。ちなみに、オゾン層の厚さが1%減ると、地上の紫外線量は約1.5%増加します

日焼けによるダメージ

日焼けによる肌へのダメージは少なくありません。サンバーン状態がひどくなると、水ぶくれやむくみが起こります。ときに痛みやほてりをともなう場合もあります。慢性的に紫外線を浴びた場合は、一部の色素細胞がメラニンを合成し続けるようになり、やがてシミとなってしまいます。さらにこの状態が続くと皮膚の弾力性が失われ、シワができます。

そして最も心配なのが皮膚がんです。通常、皮膚の基底細胞にある遺伝子は、UV−Bによっていったん傷つけられても再び修復されますが、ときに修復過程でエラーが起こることがあります。そのエラーで突然変異となった細胞が、やがてがんに発展してしまうというわけです。日焼けと皮膚がんの関係は、まだはっきりとはわかっていませんが、長期にわたって浴び続けないよう気を配りたいものです。また、がんには至らなくても、悪性のほくろや日光角化症という皮膚症状があらわれるケースもあります。

さらに、人によっては、紫外線を浴びることで免疫機能に支障をきたすことがあります。このようなトラブルが起こると、感染症にかかりやすくなるので注意しましょう。

日焼けのタイプ

皮膚の色は、色素物質メラニンで決まります。メラニンの量が多いほど、肌の色は黒くなるし、日光に対する抵抗力があると言われています。 白色人種はメラニンの量が少なく、黒色人種は多く、日本人のような黄色人種はその中間であるといわれています。また、同じ日本人でも紫外線に対する抵抗力は人によって違います。大きく分けると、以下のように分けられます。

  1. 日光にあたるとすぐ赤くなるが、黒くはならずもとに戻るタイプ
  2. 日光にあたるとそれなりに赤くなって、その後黒くなるタイプ
  3. 日光にあたるとあまり赤くならずに黒くなるタイプ

紫外線の影響を最も受けやすいのは、Aのタイプです。このタイプは、サンバーンを起こしやすく皮膚がんにかかる可能性が高いと言われています。また、Cのタイプは、サンタンを起こしやすく、シミやシワができやすいです。Bのタイプはその中間です。

「赤くならないから肌が丈夫」なのではなく、それなりに老化を早めているので、紫外線に強い人も弱い人もしっかり対策をしましょう。

紫外線がシミやシワをつくるしくみ

紫外線によるシミはこうしてできる
  1. 紫外線を浴びる
  2. それに対する防衛反応としてメラニン色素がたくさんつくられ、肌は黒くなる
  3. メラニン色素はふつう28日周期の表皮の角化にともなって抜け落ち、肌色ももとに戻る
  4. しかし、日焼けの程度がひどい場合、表皮が壊れてメラニン色素が真皮に落ち込み、色素沈着を起こしてシミになる。軽い日焼けでも、人によっては色素沈着を起こすこともある
紫外線によるシワはこうしてできる
  1. 紫外線を浴びる
  2. 肌の弾力とハリを司るコラーゲンが断裂・変性する。コラーゲン産生量も低下する
  3. 真皮が萎縮し、深いシワが出来る

これで完璧!紫外線対策

1.帽子・サングラス・肌をあまり出さない服を着用しよう

紫外線を避けるための手段としては、帽子をかぶることです。帽子は直射日光を避けることができるため、顔の肌を守るだけではなく、白内障や熱射病の予防にもつながります。 帽子は、つばが7cm以上のものがベストです。約7cmのつばの帽子は、顔が浴びる紫外線の約60%をカットできるといいます。ただし、100%完全にカットすることは帽子だけでは難しいです。

また、サングラスをかければそれだけ目が保護されます。特に真夏の外出や冬のスキーなどの時には、UVカットされた安全規格のサングラスを使用しましょう。また、肌をあまり出さないような服を着ることももちろん必要です。

2.日焼け止めを使う

最近は、日焼け止めも幼児用から男性用、女性用などバラエティー豊富で、しかも種類もたくさんあります。どんなものを選んだらいいのか、その目安となるのが「SPF」や「PA」という値です。

紫外線のUVA、UVBは波長が違うため、それぞれをブロックするための成分も違ってきます。

★ SPFとは・・・?

UVBを防御するレベルを表わす指標で、Sun Protection Factorの略

SPF=(サンスクリーン剤を使用した皮膚でのMED)/(素肌のMED)

で表わされる。

※ MEDとは、個人差はありますが、真夏の快晴の時20〜25分間日光を浴び、翌日その部分がほんのり赤く日焼けする程度(最少紅斑量)のこと

つまり、サンスクリーン剤にSPF20とあれば、塗らなかった部分より日焼けするのに20倍時間がかかるということです。

使用する場合は、次のことに注意しましょう。

日焼け止めを使うときの注意点

★ PAとは・・・?

UVAを防御するレベルを表わす指標で、Protection Grade of UVAの略

PAとは

SPFはほぼ世界共通の指標ですが、PAは日本だけの基準と表示です。しかし、SPFと併せて表示されることが多いので、サンスクリーン剤や化粧品を選ぶ時の参考にしましょう。

日焼けしてしまったら・・

日焼けは、いわば「軽いやけど」と同じものです。放っておけば、当然、肌のトラブルになります。日焼けをした皮膚は、早めのお手入れが重要です。

1.やけどへのケア

まずは冷水に浸したタオルや、冷水シャワー、氷でほてりを鎮めます。重症の場合は皮膚科を受診することをおすすめします。症状に応じて、飲み薬や塗り薬を使用します。

2.乾燥させないためのケア

化粧水をたっぷり与えて、水分を補給しましょう。その後、乳液などを塗って、水分の蒸散を防ぎます。特に、お風呂上がりには十分ケアを行いましょう。

3.肌を生きかえらせるケア

ビタミンCをとりましょう。メラニンの生成をおさえてくれます。また、栄養バランスのとれた食事に気をつけましょう。たばこをやめる、無理なら本数を減らすことも大切です。

日焼けに対するくすり

日焼けの症状がひどい時は、以下のような薬剤(外用)を使用します。

1.非ステロイド性消炎鎮痛剤

日焼けによる炎症はプロスタグランジンによって引き起こされています。非ステロイド性消炎鎮痛剤の作用機序のシクロオキシゲナーゼ活性阻害は、日焼けによる炎症を鎮めるのに効果が期待できます。ただし、インドメタシンのような、薬局で売っている外用剤にはメントールやカンフルのような刺激作用をもつ成分が配合されていることがあるので、注意してください。

2.副腎皮質ステロイド剤

日焼けの炎症症状に対して使用します。ただし、全身の広範囲もしくは重症な日焼けの場合には、全身的な副作用や内服薬との相互作用が起こる可能性があり注意が必要です。医師、薬剤師に相談しましょう。

3.酸化亜鉛

亜鉛の収斂作用により炎症をおさえると考えられています。日焼け後の化粧品やローションに皮膚の乾燥やほてりをとる目的で配合されることがあります。液状になっているものは使用前によく振ってから使用することをおすすめします。

4.グリチルリチン酸、グリチルレチン酸

抗炎症作用を期待して医薬品や医薬部外品、化粧品などに配合されているので、すすんで使用するとよいでしょう。

5.日本薬局方オリブ油

日焼け後の肌や、やけど・かぶれを感じる時に役立ちます。ガーゼ・脱脂綿などに本品を浸して肌にぬることで、肌を守り、なめらかで生き生きとした状態にします。

紫外線対策に有効な栄養素

日焼けしてからあわてて対策する前に、栄養をたっぷりとって紫外線のダメージを受けない体づくりを考えることが大切です。紫外線対策に有効な栄養素をしっかり把握しておきましょう。

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