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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

日増しに暖かくなってきましたね、そろそろ出かける予定を立ててみてはいかがですか?

今回のテーマは、高血圧についてです。

 

2009年03月

血圧とは?

血液は、全身に酸素や栄養分を運び、二酸化炭素や身体にとっていらないものを回収してきます。この血液の循環をコントロールしているのが心臓です。 心臓は強い力で血液を全身に送り出します。心臓から押し出された血液が血管の壁を内側から押す力、それが「血圧」です。心臓は縮んだり(収縮)ふくらんだり(拡張)を繰り返しています。

心臓がギュッと縮んで血液を送り出すときの血圧が「収縮期血圧」で、最高血圧、最大血圧、上の血圧などともいわれます。

収縮した心臓が元にもどり、一番膨らんだときの血圧が「拡張期血圧」で、最低血圧、最小血圧、下の血圧などともいわれます。

高血圧の基準は?

*家庭血圧(家庭など自分で測った血圧値)

135mmHg / 85mmHg以上 (収縮期血圧 / 拡張期血圧)


*診察室血圧(病院もしくは健康診断で測った血圧値)

140mmHg / 90mmgHg以上 (収縮期血圧 / 拡張期血圧)

高血圧の原因は?

高血圧の90%以上を占めるとされる本態性高血圧は、明確な原因が不明です。しかし、生活習慣と遺伝的な体質の両方が関係しているといわれています。塩分のとりすぎ、ストレス、過労、肥満、運動不足、加齢による血管の老化そして遺伝的要因などが危険因子として挙げられています。

高血圧は何がいけないの?

高血圧は自覚症状がほとんどなく、静かに進行します。このため高血圧は「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれています。高血圧を放置しておくと、動脈硬化を起こし、やがて脳、心臓、腎臓などに深刻な障害(合併症)を引き起こします。

  • 脳血管に起こる障害には脳出血、脳梗塞などがあります
  • 心臓の血管である冠状動脈に起こる障害には狭心症や心筋梗塞がありますが、ポンプとしての心臓自体に負担がかかるため、心肥大(心臓の筋肉が厚くなる)から心不全になります
  • 腎臓に起こる障害には腎硬化症などがあます

血圧をきちんとコントロールすれば、これらの合併症の発症を予防したり、遅らせたりすることが可能です。

高血圧の治療目標値

高血圧の治療目標値

注) CKD(Chronic Kidney Disease) :慢性腎臓病

血圧の正しい測り方

血圧は1日を通じて一定ではありません。運動しているときやその直後、入浴中、仕事中など、状況によって数値は変動します。血圧管理の第1歩は、正しい血圧測定から始まります。測定前1時間位の間には、食事・入浴・運動・飲酒・喫煙は避けてください。

  1. 体の力を抜いてリラックスする
    1〜2分座って安静にした後、数回深呼吸をして測りましょう。
  2. 座って測定する
    血圧は、「心臓の高さにある上腕の血圧を座って計測した値」が基準です。必ず座って測定しましょう。
  3. 毎日同じ時間に測る
    血圧は、時間によって変動するため、同じ時間に測らないと、日々の変化がつかめません。朝であれば起床後1時間以内、トイレをすませた後、食前、薬の服用前に、晩であれば就寝前に測りましょう。
  4. 記録をつける
    測定日時、朝か夕か、体調などもあわせて記録しましょう。

生活習慣を見直そう!

1.食事

塩分の摂取量が高いと血圧が上昇することは、昔から良く知られています。塩分を減らすと血圧が下がるのは明らかであり、ガイドラインでは1日6グラム未満が推奨されています。

また、コレステロールや飽和脂肪酸(肉類などに多く含まれる)の摂取を控え、魚(魚油)の積極的な摂取をこころがけましょう。

2.減量

肥満者は体格指数BMI(体重(kg)÷身長(m)2 )で25未満を目指し、肥満ではない人はそのレベルを維持することが望ましいです。肥満を伴う高血圧患者はまずは減量を進めるべきですが、4〜5kgの減量で有意な降圧が得られるといわれています。

3.運動

運動をすると、体内のホルモンや血液の量、交感神経の働きなどが血圧を下げるように変化します。

高血圧対策として好ましい運動は、散歩やジョギング、サイクリング、水泳、ラジオ体操など、有酸素運動と呼ばれるものです。定期的に毎日30分以上を目標に行うとよいでしょう。ただし、症状によってはリスクを伴うケースがあります。医師と相談し、自分の体力と体調に見合ったプログラムにしましょう。

4.節酒

節酒を継続することで、数日で血圧は低下することが確認されています。たばこのようにやめる必要はありませんが、節酒は降圧に効果があるといえるでしょう。飲酒の適量としてはエタノールで男性20〜30ml/日以下(日本酒1合、ビール中ビン1本、ワイン2杯弱に相当)、女性10〜20ml/日以下といわれています。

5.禁煙

喫煙は一過性の血圧上昇を引き起こします。長期的には動脈硬化も進行させるので、狭心症や心筋梗塞のリスクも高まります。その上、本人だけの問題でなく、受動喫煙による家族への被害も見逃せないものがあります。最良の選択は禁煙です。

6.その他

寒冷が血圧を上昇させるため、冬季に血圧が高くなることはよく知られています。心血管病による冬季の死亡率増加は、暖房、防寒の不十分なほど高くなります。したがって高血圧患者は冬季には暖房に配慮すべきであり、トイレや浴室、脱衣所なども注意が必要です。

入浴に関しては、熱すぎないお風呂がいいでしょう。室温20℃以上、湯温40℃以下では血圧はほとんど上がらないとされています。38〜42℃くらいの湯温で5〜10分くらいの入浴が目安です。

便秘に伴う排便時のいきみは血圧を上昇させるので、便秘の予防も重要です。

降圧治療

生活習慣の修正から開始し、目標血圧に達しない場合には降圧薬による治療を考慮します。

当院での主な降圧薬の種類
当院での主な降圧薬の種類

※薬が処方されたら医師の指示に従い正しく服用しましょう。