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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

ようやくしのぎやすい季節となりました。

今回のくすりの窓では、不眠症についてとりあげます。

 

2009年09月

睡眠について

人は眠りについてから次第に眠りが深くなり、1時間半ぐらいたつと眠りが浅くなり最初のレム睡眠に入ります。レムとは“眼球が速く動く”という意味で、眠りとしては浅く、夢を見ていることが多いのです。普通の眠りをノンレム睡眠と呼び、このノンレム睡眠−レム睡眠の周期を一晩に4〜5回繰り返して眠るのです。一般的にレム睡眠は体を休める睡眠で、ノンレム睡眠は脳を休める睡眠と言われています。

人間の睡眠リズムは年齢が進むに従い変化します。高齢者の睡眠リズムは成人の時と違って、深い眠りが少なくなり、しばしば夜中に目が覚める傾向にあります。そのため、日中ウトウトしたり早い時間に眠くなったりし、その結果朝早く目覚めてしまうという悪循環を繰り返すこともあります。

不眠症について

国内で行われた多くの調査によると、日本人の4〜5人に1人は何らかの不眠で困っているといわれています。不眠は男性より女性に多く、高齢者になるほど頻度が高くなるのが特徴です。

実際の睡眠時間の長短に関係なく、朝起床時に睡眠に対する不満足感が強く、それによって身体的、精神的、社会生活の支障を感じている状態のことを不眠症といいます。

眠れない状態は主に以下の4つのパターンがあります

  1. 寝つきが悪い(入眠障害)
  2. 眠りが浅く夜中に目が覚める(中途覚醒)
  3. よく眠ったという満足感がない(熟眠障害)
  4. 朝早く目が覚める(早朝覚醒)

これらの症状は、いくつか重複して見られることがあります。

眠れない原因は大きく5つに分けられます

  1. ストレスなどの心理学的原因
  2. 体の痛み・かゆみや頻尿などの身体的原因
  3. 内服している薬剤やアルコール、カフェインなどによる薬理学的原因
  4. 騒音・光などの睡眠環境、旅行や転居を含めた環境の変化などの生理学的原因
  5. うつ病などの精神医学的原因

まずはじめに、生活を見直しましょう

  1. 食事、就寝、起床など、規則正しい生活リズムを整えましょう
    • 朝は一定の時刻に起きるようにし、起床時は日にあたるようにしましょう
    • 昼寝はできるだけせず、昼寝をするなら15時前の20〜30分にしましょう
  2. ストレスをためないようにしましょう
  3. 昼間に適度な運動をしたり、外出したりして生活リズムのメリハリを保ちましょう
  4. 寝る前にアルコール、カフェイン、ニコチンの摂取は控えましょう
  5. 眠りやすい環境を整えましょう
    • 室温・湿度:夏24−26℃、冬12−14℃、湿度50%以下にしましょう
    • 寝室:清潔で快適なものにしましょう
  6. 夜はくつろいで過ごしましょう
  7. 就床後はリラックスし、「眠りたい」という意識をそらしましょう

睡眠薬について

睡眠薬といえば、やめられなくなる、大量に飲むと死んでしまう、などという怖いイメージを抱いている人が多いのではないでしょうか。確かに以前はそのようなこともありましたが、安全性が大きく改善され、 間違った飲み方をしなければ、重篤な副作用、依存性、耐性の問題はそれほど心配ありません。医師の指示通りに飲みましょう。睡眠薬は正しく使うことで十分な効果が得られ、不必要な副作用を防ぐことができます。

睡眠薬は薬の作用時間によって超短時間型短時間型中間型長時間型の4種類に分類されています。

睡眠薬のくすり

主な副作用

  • 翌朝まで眠気が続く
  • 体に力が入らない
  • 夜中の出来事を覚えていない

このような症状があれば医師に相談してください。

服用中に注意すること

  • 生活環境を見直しましょう
  • 睡眠薬は医師の指示通りの用量と服用時刻を守って正しく服用しましょう
  • アルコールと一緒に睡眠薬を飲むことはやめましょう
  • 夜間トイレに行くときは明かりをつけるなどして、転倒に注意しましょう