朝夕の寒気が身にしみる頃となりました。
今回のくすりの窓は グレープフルーツと薬の飲み合わせ です。
2010年11月
相互作用ってなに?
飲み合わせる薬と薬、薬と飲み物との関係で、薬が効かなかったり、逆に効きすぎて、身体に悪影響が出ることがあります。これを「相互作用」といいます。飲み薬の多くは小腸から吸収され、肝臓に運ばれ分解・排泄されます。
グレープフルーツについて
グレープフルーツは亜熱帯を産地とする柑桔類です。ビタミンCを豊富に含んでおり、果実が枝にブドウ(グレープ)のような房状につくことから「グレープフルーツ」という名前がつけられたそうです。相互作用のメカニズムは、グレープフルーツに含まれる天然フラボノイド成分が、肝臓や消化管粘膜に存在する‘くすりを代謝する酵素’の力をおさえるためと考えられています。この酵素は‘‘チロクロームP450 3A4(CYP3A4)’’と称されます。したがってグレープフルーツと同時に服用することで、薬によっては薬の効きを悪くしたり、よくしすぎたりすることがあります。
グレープフルーツと食べ合わせのよくない薬
当院にある薬のうち、グレープフルーツとの飲み合わせがよくない薬にはカルシウム拮抗薬などがあり相互作用の強弱は以下の通りです。グレープフルーツと一緒に摂取することで、薬の効きをよくしすぎてしまいます。
カルシウム拮抗薬(主に高血圧や狭心症に用いる)
カルシウム拮抗薬の種類 |
相互作用の強さ |
---|---|
カルブロック錠16mg |
強い |
アテレック錠10mg |
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コニール錠4mg |
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アダラートL錠20mg |
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アダラートCR錠20mg・40mg |
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アダラートカプセル5mg |
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ワソラン錠40mg |
やや強い |
ノルバスクOD錠2.5mg・5mg |
弱い |
カルシウム拮抗薬のほか、グレープフルーツとの飲みあわせのよくない薬
効能 |
くすり |
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三叉神経痛やてんかん等に用いる |
テグレトール錠100mg・200mg |
慢性動脈閉塞症・脳梗塞などに用いる |
プレタール錠50mg・100mg |
血液透析患者のそう痒に用いる |
レミッチカプセル2.5μg |
免疫を抑える薬 |
サンディミュンカプセル50mg |
ネオーラルカプセル25mg |
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プログラフカプセル0.5mg・1mg |
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肺高血圧症に用いる |
トラクリア錠62.5mg |
副甲状腺機能亢進を抑える薬 |
レグパラ錠25mg・75mg |
高脂血症に用いる |
リピトール錠5mg・10mg |
よくある質問
1.どれくらい時間を空ければいいの?
グレープフルーツの影響は、一般的に摂取後24時間程度に及ぶといわれています。グレープフルーツと服用する薬が相互作用の影響を受ける時間はそれぞれの薬によって異なります。長いものでは2〜4日程度持続するものもあります。
したがって、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツの摂取は避けましょう。
2.グレープフルーツの摂取量が少量なら大丈夫?
グレープフルーツの摂取量が多いほど、グレープフルーツとの飲み合わせのよくない薬の作用は強まります。しかし、薬に影響を与えるCYP3A4の力をおさえる成分の含有量は、グレープフルーツの銘柄間でかなりの変動があると考えられており、グレープフルーツの産地・収穫時期の違いなどで、大きく相違する可能性があるといわれています。
グレープフルーツを摂取する時点で、薬に影響を与えるCYP3A4の力をおさえる成分の含有量を推測するのはとても困難なのです。したがってグレープフルーツ摂取量にかかわらず、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツの摂取は避けましょう。
3.グレープフルーツの果肉や果皮による影響
これまではグレープフルーツジュースに含まれる渋みの成分が酵素を弱くするといわれていましたが、最近ではグレープフルーツの果肉でも同じような作用が起こることがわかってきました。したがってグレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツジュースだけでなくグレープフルーツの果肉や果皮の摂取は避けましょう。
4.グレープフルーツと似た種類の食べ物でも相互作用は起こるの?
グレープフルーツは初生柑橘亜属のブンタン(ザボン)区に属しています。 ブンタン(ザボン)区にはグレープフルーツのほかに、八朔(ハッサク)、晩白柚(バンペイユ)、土佐ブンタン、平戸ブンタンなどがあります。これ らの柑橘類果汁も薬に影響を及ぼすことがわかっています。しかし、温州みかんなどは影響を与えませんので、次項の表を参考にしてみてください。
影響を与えるもの |
影響を与えないもの |
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晩白柚 |
バレンシアオレンジ |