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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

澄んだ青空が秋を感じさせる季節となりました。

今回のくすりの窓は 高血圧 についてです。

2012年09月

高血圧とは?

高血圧とは、血管が細く狭くなり血液の流れが悪くなることで、血圧が基準値よりも高くなることです。

高血圧が続くと、血管に大きな負担がかかり、全身のさまざまな血管に障害が起きて、合併症を引き起こす危険性が高くなります。

高血圧の種類

高血圧の種類は大きく本態性と二次性の2つに分けられます。

本態性(一次性)高血圧

血圧が高くなる他の病気やホルモンの異常などがない高血圧のことで、一次性高血圧とも呼ばれています。本態性高血圧が起こる原因ははっきり分かっていませんが、遺伝的な要素や生活習慣が関係していると考えられています。

二次性高血圧

高血圧の患者さんの約10%程度が二次性の高血圧です。薬や高血圧以外の病気が原因となって起こる病気のことです。原因となる病気としては、ホルモンの異常、腎の病気、動脈の病気が上げられます。

  • 薬剤誘発性高血圧
    薬を服用することで起こる高血圧のことです
  • 内分泌性高血圧
    ホルモンの分泌がうまく行われないことによって起こる高血圧です
  • 血管性高血圧
    心臓や動脈の障害によって起こる高血圧です
  • 腎性高血圧
    腎の病気や腎動脈が動脈硬化を起こすことによって引き起こされる高血圧です

降圧目標

降圧目標

なぜ治療が必要か?

高血圧の治療の目標は血圧を下げる事だけでなく、将来の心臓や血管の病気と、その結果としての虚血性心疾患や脳卒中を防ぐことにあります。高血圧と同時に、すでに肥満、糖尿病、脂質異常症の多くのリスクを持っている人は、治療を受ければより大きな効果が得られます。もちろん軽症の人もすぐに治療を始めれば、薬を使わずに血圧を下げることが出来るし、適正な血圧を維持することも可能です。高血圧の人が腎不全や心不全、糖尿病などすでに他の病気をもっている場合にも、高血圧と平行してそれらの治療がすすめられます。

高血圧の治療

生活習慣の改善

高血圧の治療を進める際には生活習慣の改善が大変重要です。具体的な例として脂質の摂取を制限する事、適度な運動を行う事、適正体重を維持する事、アルコールの摂取を適量にする事などがあげられます。生活習慣を改善すれば、高血圧ではあっても、薬を軽い種類に変えていったり、用量を減らしていったりすることが出来る可能性もあります。

薬物治療

血圧を下げる薬(降圧薬)にはさまざまな種類があり、それぞれ作用の仕方や使用目的が違います。医師は、患者さんの血圧の状態、合併症などを考えて、患者さんひとりひとりに合った降圧剤を選びます。降圧剤を2〜3カ月服用しても、降圧目標値まで血圧が下がらない場合には、薬の種類や量を増やしたり変更したりします。

配合剤治療薬

降圧剤はさまざまな種類がありますが、今回は配合剤を紹介したいと思います。配合剤とは、何種類かのお薬の成分をひとつの薬の中に含ませた医薬品です。配合剤にすることで、

  1. 飲む薬の数を減らすことができる
  2. 飲み忘れを防ぐことができる
  3. お薬の値段を抑える事ができる

などの利点があります。

当院にある合剤

< 降圧剤+利尿薬の合剤 >

2つの成分が一緒に作用することで、十分血圧が下がるようになります。また心臓や腎臓の負担が軽くなる効果も期待できます。

降圧剤+利尿薬の合剤

< 2種類の降圧剤の合剤 >

下に挙げる薬は、異なる2種類の降圧剤を合わせた薬です。

心臓や体の血管を広げて、血圧を下げます。また心臓の収縮を抑えて、心臓を休ませる働きもします。

2種類の降圧剤の合剤

< 降圧剤+コレステロールの薬 >

血圧を下げる薬と、コレステロールの他中性脂肪を下げる薬の合剤です。

降圧剤+コレステロールの薬

まとめ

高血圧によって様々な合併症が引き起こされる事があります。

栄養バランスの良い食事をとり、適度な運動をとるなど日々の生活習慣を整える事が大事です。また薬物治療を行い、血圧を適度に保つことによって合併症の発病を防ぐことが高血圧治療では大切です。