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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

朝夕の寒気が身にしみる頃となりました。

今回のくすりの窓は インフルエンザ についてです。

2013年01月

インフルエンザって?

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症の総称です。インフルエンザはその構造上の特性から、A型、B型、C型と大きく3つの型に分けることができ、現在流行の中心となっているのはA型とB型です。

インフルエンザウイルスには強力な感染力があり、いったん流行すると、年齢や性別を問わず、多くの人に短期間で感染が広がります。日本では毎年11月〜4月に流行が見られます。

かぜとインフルエンザの違いについて

かぜとインフルエンザは症状も原因もはっきり異なります。

 

かぜ(かぜ症候群)

インフルエンザ

発熱

ないかもしくは微熱

38〜40℃

発病

ゆっくり

急激に発症

主な症状

上気道症状、鼻汁など

発熱、筋肉痛、関節痛など

合併症

まれ

気管支炎、インフルエンザ肺炎、脳炎など

病原

ラノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど

インフルエンザウイルス

かぜは、のどの痛み、鼻水、咳などの症状を伴う呼吸器の急性の病気の総称で、正確には「かぜ症候群」と言います。発熱、頭痛、食欲不振などが起こることもあります。健康な人でも年に数回程度かかるといわれています。

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。普通のかぜよりも急激に発症し、症状が重いのが特徴です。インフルエンザに感染すると、1〜3日の潜伏期間の後、38℃以上の高熱や筋肉痛などの全身症状が現れます。健康な人であれば、その症状が3〜7日間続いた後、治癒に向かいます。気管支炎や肺炎を併発しやすく、脳炎や心不全になる場合もあります。

予防策について

予防の基本は、流行前にインフルエンザワクチンを接種することです。ワクチン接種以外では、日常からの衛生習慣が大切です。

日常生活でできる予防

日常生活ではまず、体調を整えて抵抗力をつけ、ウイルスに接触しないことが大切です。

○栄養と休養を十分に取る

体力をつけ、抵抗力を高めることで感染しにくくなります。

○人ごみを避ける

病原体であるウイルスを寄せ付けないようにしましょう。

○外出後の手洗いとうがい

手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎます。

○適度な湿度を保つ

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下しインフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50〜60%)を保つようにしましょう。

○マスクをする

ンフルエンザは、感染している人のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒に放出されるウイルスを、のどや鼻から吸い込むことによって感染します。また、飛沫が付着したものを触ることによって、手を介して口や目、鼻の粘膜から感染するケースもあります。

自ら予防することはもちろん重要ですが、それ以外の人たちもなるべく感染しないようにすること、感染しても他の人に移さないように配慮しましょう。

感染を広げないために、一人一人が「感染しない」「感染を拡げない」ことを意識して、予防策を実施しましょう。

手洗いの目的について

‘本人および周囲への感染の予防’が手洗いの目的です。流水と石鹸による手洗いは付着したウイルスを除去し、感染リスクを下げます。また、60〜80%の濃度のアルコール製剤に触れることによってウイルスは死滅します。目に見える汚れは流水と石鹸で洗い、目に見える汚れがない場合は手指消毒剤を用い消毒を行います。

手洗いのタイミング
  • 帰宅時
  • トイレの後
  • 食品を取り扱うとき
  • 食事の前
  • 咳やくしゃみを手で押さえた後
  • ケアの前後

抗インフルエンザ薬について

ウイルスが増えるのを防ぐ内服薬、吸入薬、注射薬があります。どの薬も、ウイルスが増えてしまった後ではあまり効果が見られないといわれており、症状が発現してから48時間以内に開始する必要があります。

当院にある抗インフルエンザ薬
  • タミフルカプセル(内服薬)
  • タミフルドライシロップ(内服薬)
  • イナビル(吸入薬)
  • ラピアクタ(注射薬)

抗インフルエンザウイルス薬には、タミフルの他にリレンザ、ラピアクタ、イナビル、シンメトレル等の医薬品がありますが、これらの医薬品の服用後にも、急に走り出すなどの異常行動の発生が認められています。また、インフルエンザにかかった時には、医薬品を何も服用していない場合や解熱剤のアセトアミノフェンだけを服用した後でも、同様の異常行動が現れることが報告されています。インフルエンザに罹患して、自宅において療養を行う場合には、突然走り出して2階から転落するなどの事故を防止するため、医薬品の服用の有無にかかわらず、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮しましょう。

抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、ウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには用法、用量、期間(服用する日数)を守りましょう。

また、インフルエンザ脳炎にはアスピリン、ジクロフェナク、メフェナム酸といった市販で売られている解熱剤を服用してはいけません。インフルエンザが疑われるような症状が出た場合は自己判断で市販の薬を汎用しないように気をつけてください。