若葉の色が美しい季節となりました。
気温もぐんぐんあがって夏の気配が感じられる今日このごろです。
今回のくすりの窓は 薬の保管方法について です。
2013年05月
薬をどこに保管していますか?
みなさんは病院や薬局でもらった薬をどこに保管していますか?
食卓の上やケースに入れるなど様々だと思います。慢性疾患では長期処方される場合も多く、90日分といった薬を家庭で保管される場合もあると思います。
食料品と同じように、薬の保管にも注意が必要です。薬の成分が変質すると作用に悪影響を及ぼしたり、保管の不注意が子どもの誤飲事故を招いたり…。
薬の効果を保ち、安全に使用していただくための注意点について紹介します。
保管場所
一般的に薬の保管で気をつけていただきたいのは、「高温・多湿・直射日光を避ける」ということです。
直射日光や高温、凍結を避けて保管しましょう
高温・多湿・直射日光の3点を避け、室内で比較的温度が低く(15℃〜25℃)室温の変化の少ない場所に保管しましょう。
冬の暖房器具による高温にも注意が必要です。普段携帯している薬についても、薬を車の中においておくことは厳禁です。真夏の日中、車の中は50℃以上になりますので、特に注意してください。
ただし、薬によっては冷蔵庫での保管や遮光が必要なものもありますので、そのような場合は指示に従いましょう。
粉末や顆粒状の薬は水分を吸収すると固まることがあります。湿気にも注意して保管しましょう
フタの出来る容器に入れ、乾燥剤を入れておくと良いでしょう。雨季の季節は特に注意しましょう。
また、タッパーウェアなどの気密容器に保管する場合も、薬の袋から薬を出さずに保管しましょう。薬の袋から出して保管したために薬の飲み方がわからなくなったり、誤って他の人の薬を飲んでしまったなどがありますので注意してください。
子供の手の届かないところに保管しましょう
子供は大人が考えもしなかった行動をすることがあります。特に幼い乳児・乳幼児などは何でも口に入れてしまいます。子供の誤飲を防ぐためにも必ず薬は子供の手の届かない、目に付きにくい場所に保管しましょう。容器に入れて保管する場合、お菓子が入っていた缶などは子供が間違えやすいので避けたほうが良いでしょう。
薬の保管方法
粉薬(散・細粒・ドライシロップなど)
粉薬は直射日光に当たると溶けたり、湿気で固まることがあります。冷蔵庫は湿気が多いので、粉薬の保管には向きません。原則として室温でかまいません。
密閉できる容器(タッパーウェア、空き缶など)に入れ、一緒に乾燥剤を入れておきましょう。
水薬・シロップ
細菌が入ると繁殖しやすいため、フタをしっかり閉め、冷蔵庫で保管しましょう。
坐薬
ほとんどの坐薬は体温で溶けるようになっているため、高温では溶けてしまったり、薬の成分が変質したりすることがあります。室温保存でよいものを除き、一般的に冷蔵庫に保管しましょう。
室温保存でよい坐薬
ダイアップ坐薬、ナウゼリン坐薬、テレミンソフト坐薬など
点眼薬・点耳薬
特に冷蔵庫に保管する必要があるものを除き、室温で保管します。
また遮光して保存する必要があるものは、お薬と一緒にお渡しする専用の小袋に入れて保管しましょう。
また、1度開封した点眼薬は細菌に汚染されやすいので2週間程度を目安に使うようにしましょう。
冷所保存の点眼薬
ジクロード点眼液、キサラタン点眼液、リンデロンA液など
塗り薬
一般的には室温で保存します。中には必ず冷蔵庫に保管しなければならないお薬もありますのでお薬の袋に記載してある保管方法を確認してください。
冷所保存の塗り薬
ユベラ軟膏など
はり薬
一般的には室温で保存します。湿布薬は直射日光や高温多湿を避け保管しましょう。
1袋の中に数枚入っているものは、開封後は袋の切り口を折り曲げるか、開封口のチャックを閉めて密封するようにします。
喘息のお薬で半分に切って使用する場合もありますが、この場合も室温で保管します。
インスリン注射液
未開封のインスリンは直射日光と高温に弱いため、基本的には冷蔵庫に保管します。冷気の吹き出し口付近で保管し凍結させないよう、扉側に置くなどして注意してください。
ただし使用し始めたペン型注射器またはペン型注射器に入れたカートリッジは結露による注入器の故障を防ぐため、直射日光と高温になる場所を避けて室温で保存しましょう。
★以下のような場合は薬が変質している恐れがありますので、使用を避けてください★
- 錠剤やカプセルの色が変わっている、においが変わっている場合
- 粉薬の色が変わっている、固まっている、においが変わっている場合
- 透明だった水薬が濁ったり沈殿物ができ、よく振ってもとけない場合
- 軟膏やクリームなどの外用薬で色が変わっていたり、油がういている場合
- 透明だった点眼薬が濁っている場合
保管中に外観変化があるものは使用しないようにしましょう!
Q&A
- 冷所保存とは何℃?
- 冷所とは1〜15℃のことです。
- すべての薬を冷蔵庫で保存したほうがいい?
- 冷蔵庫に入れておけば長持ちすると思っている方は多いかと思います。しかし、冷所保存により弊害が起こる可能性がありますので、「冷所保存」と指示してあるもの以外はなるべく室温で保存するようにしましょう。
冷所保存することによる弊害
冷蔵庫内と室温に差があるため、冷蔵庫から出したとき結露して湿気てしまうことがあります
使用中のインスリン注射を冷蔵庫で保存して使用すると注射する際に痛みが増します
坐薬を冷蔵庫で冷やしすぎて硬くなったものをそのまま使用すると痛みが生じたり、痔を持っている人などは症状を悪化させる可能性があります
薬は保管方法によって効果の低下などをもたらすことがあります。保管方法の指示があった場合は気をつけるようにしましょう。冷所保存の薬であっても短期間であれば常温でも影響を気にしなくて良い薬もありますので医師の指示に従うようにしてください。わからない点があれば薬剤師に確認してください。