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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

蝉の鳴く季節がやってまいりました。

今回のくすりの窓は 薬と食べ物の相互作用について です。

2013年07月

相互作用とは?

相互作用とは、薬と薬の飲み合わせのことで、2種類以上の薬を飲む場合、組み合わせによっては作用が強く出すぎたり、逆に効果がなくなったり、場合によっては副作用が出やすくなったりすることがあります。

この相互作用は薬同士だけではなく、薬と食べ物でも起こることがあるので気をつけましょう。

抗生物質と牛乳

牛乳と一部の抗生物質を一緒に服用すると、薬の成分が牛乳のカルシウムと結合してしまい、薬の吸収を低下させてしまい効果が弱まることがあります。カルシウムの多い乳製品にも注意が必要です。

★牛乳や乳製品をとりたい場合には薬を飲む時間の2時間程度ずらせば大丈夫です

当院にある薬のうち牛乳と飲み合わせの良くない抗生物質は以下の通りです。

当院にある薬のうち牛乳と飲み合わせの良くない抗生物質

ワーファリンと納豆、クロレラ、青汁

ワーファリンは血液を固まらせるビタミンKの働きを抑えて、血液を固まりにくくする薬です。よって、ワーファリン服用中にビタミンKを多く含む食品を摂取すると、ワーファリンの効果が弱められてしまいます。

当院にあるワーファリンは以下の通りです。

当院にあるワーファリン
ワーファリンの効果を弱めるもの・注意が必要なもの

■納豆

納豆に含まれる納豆菌は少量でも腸の中で、ビタミンKを作り出しワーファリンの作用を妨げてしまいます。納豆を食べると、ビタミンKの働きをワーファリンでせっかく止めていたのに、納豆菌が後からどんどんビタミンKをつくり出してしまい、ワーファリンの効き目が悪くなってしまうのです。

■クロレラ

健康食品として市販されるクロレラにはビタミンKが多く含まれているので、薬を飲んでいる間は摂取しないようにしましょう。

■青汁

緑黄色野菜が主原料となっている青汁は大量のビタミンKを含んでいるので飲まないようにしましょう。

□緑黄色野菜

ビタミンKを多く含む野菜には、パセリ・しそ・明日葉・ほうれん草などがあります。通常の食生活で大量に摂取することはないので、これらについてはほとんど気にする必要はないと思われます。

ただし、緑黄色野菜の一時的な大量摂取は避けるようにしましょう。

ビタミンKを含む食品

ビタミンKの量

納豆、クロレラ、青汁

かなり多い

パセリ、しそ、明日葉、ほうれん草

多い

クレソン、三つ葉、春菊、小松菜、にら、ブロッコリー

やや多い

★山芋、オクラなどは納豆と同様のネバネバ感がありますが、納豆菌は含まれておらず、ビタミンKの量も問題ありません

★同じ大豆製品である豆腐、味噌はビタミンKの量も少なく問題ありません

高血圧薬とグレープフルーツ

高血圧薬であるカルシウム拮抗薬と一緒にグレープフルーツを摂取すると、薬の作用が増強して血圧が下がりすぎ、心拍数が増える(ドキドキの回数が増える)ことがあります。また頭痛、ふらつき、顔がほてるなどの副作用が出やすくなることがあります。

カルシウム拮抗薬にもいろいろな種類があり、グレープフルーツの影響を受けやすい薬と、あまり神経質にならなくてもよい薬とがありますので、自分の服用している薬についてはどうなのか、薬剤師におたずねください。

当院にあるカルシウム拮抗薬のうち、グレープフルーツとの飲み合わせがよくない薬の強弱は以下の通りです。

●カルシウム拮抗薬(主に高血圧や狭心症に用いる)

カルシウム拮抗薬の種類

相互作用の強さ

カルブロック錠16mg

強い

アテレック錠10mg

コニール錠4mg

アダラートL錠20mg

アダラートCR錠20mg・40mg

アダラートカプセル5mg

ワソラン錠40mg

やや強い

ノルバスクOD錠2.5mg・5mg

弱い

よくある質問
  • どれくらい時間を空ければいいの?
  • グレープフルーツの影響は、一般的に摂取後24時間程度に及ぶといわれています。グレープフルーツと服用する薬が相互作用の影響を受ける時間はそれぞれの薬によって異なります。長いものでは2〜4日程度持続するものもあります。
    したがって、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツの摂取は避けましょう。
  • グレープフルーツの果肉や果皮による影響は?
  • これまではグレープフルーツジュースに含まれる渋みの成分が酵素を弱くするといわれていましたが、最近ではグレープフルーツの果肉でも同じような作用が起こることがわかってきました。グレープフルーツジュースだけでなくグレープフルーツの果肉や果皮の摂取は避けましょう。
  • グレープフルーツと似た種類の食べ物でも相互作用は起こるの?
  • かんきつ類の果実も薬に影響を与えるものがあります。以下の表を参考にしてみてください。

    影響を与えるもの

    影響を与えないもの

    グレープフルーツ、ハッサク、ブンタン、サワーオレンジ(ダイダイ)、ポンカン、いよかん、夏みかん

    バレンシアオレンジ、レモン、カボス、温州みかん

高血圧薬以外にもグレープフルーツと飲み合わせのよくない薬があるので以下の表を参考にしてみてください。

●カルシウム拮抗薬のほか、グレープフルーツとの飲みあわせのよくない薬

効能

くすり

三叉神経痛やてんかん等に用いる薬

テグレトール錠100mg・200mg

慢性動脈閉塞症・脳梗塞などに用いる薬

プレタール錠50mg・100mg

血液透析患者のそう痒に用いる薬

レミッチカプセル2.5μg

免疫を抑える薬

サンディミュンカプセル50mg

ネオーラルカプセル25mg

プログラフカプセル0.5mg・1mg

肺高血圧症に用いる薬

トラクリア錠62.5mg

副甲状腺機能亢進を抑える薬

レグパラ錠25mg・75mg

高脂血症に用いる薬

リピトール錠5mg・10mg

今回は、飲み合わせに注意する食べ物の代表的なものを紹介しました。他にも、細かい相互作用がありますので、未然に防ぐために一緒に飲んでいる薬やサプリメントや特に偏って摂っている食べ物などがあれば、医師や薬剤師に相談してください。

また、飲み合わせの影響は個人差が大きく、ご自身の体質や薬の種類によっても影響の度合いが変わってきますので、気になることは相談してください。