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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

朝夕の寒気が身にしみる頃となりました。

今回のテーマは 錠剤の剤形 についてです。

2013年11月

剤形とは?

薬の形のことを剤形といいます。

薬の形が違うのは理由があります。薬の形がカプセルや錠剤など様々なのは、その薬を使用しやすく、薬の成分が効果的に働くように工夫されて作られているからです。したがって、誤った使い方をしますと薬が十分に働けないばかりか、副作用の原因となります。

錠剤を自己判断で噛んだり、カプセル剤の中身を出して飲んだりすると、作用が低下したり、副作用が強く出たりする場合もあり、注意が必要です。

錠剤とは?

錠剤とは薬を圧縮して、一定の形にしたものです。

錠剤も細かく分けると、表面を糖でコーティングして飲みやすくした糖衣錠、腸で溶けるようにした腸溶剤、吸収を早めるために、舌の下あるいは歯茎と頬の間に入れて、溶かして服用する舌下錠などたくさんの種類があります。このように、錠剤の中には、特殊な加工を施したものがあります。

今回は特徴的な錠剤について紹介します。

舌下錠(ぜっかじょう)

口の中の粘膜から薬の成分を吸収させる錠剤です。

舌下錠は、舌の下または歯茎と頬の間に入れて溶かして使用する薬で、とても溶けやすく出来ています。口の粘膜から直接吸収されるため、効果の発現が1〜2分と早いのが特徴です。舌下錠を飲み込んでしまうと、薬の成分が胃で分解されたり、肝臓で代謝されたりして効果がなくなったり、即効性がなくなってしまいます。そのまま飲み込まないようにしてください。

トローチ剤

早く溶けてしまわないように硬く加工された錠剤です。

口の中でゆっくり溶かして、口腔内または咽頭などの粘膜の炎症を鎮めたり殺菌したりします。噛んだりそのまま飲み込んだりせず、そのまま口の中で溶かしてください。

腸溶錠

腸で溶けるように作られた錠剤です。

薬の中には、胃酸によって効き目が失われるものや、胃を強く刺激するものがあります。腸溶錠はこのような薬が胃で溶けずに腸で溶けて十分な効き目を発揮するように、表面に特殊な加工を施したものです。

腸溶錠を噛んだり砕いたりすると、胃酸によって効果を失ったり、胃の粘膜を荒らしたりします。噛まずにそのまま飲み込んでください。

チュアブル錠

口の中で噛み砕いて服用する錠剤です。

口の中で細かく噛み砕いてから、唾液または水で飲んでください。

OD錠(口腔内崩壊錠)

OD(Oral Disintegrant)錠とは、「口腔内崩壊錠」の略語です。口の中に入れるとすぐに唾液で溶ける錠剤です。

服用する際に水や噛み砕いて飲む必要がありません。OD錠は飲み込みが難しい患者さんでも水なしで楽に服用できる錠剤です。他にも、水なしで服用できることによって水分の摂取量を制限している患者さんも、水分量を気にする必要がありません。

水なしで服用できるOD錠ですが、寝たままの状態では水なしで服用させないことになっています。特に寝たきりの患者さんには注意が必要です。

OD錠のみで服用する機会より、OD錠以外の薬と同時に服用することも多いでしょう。OD錠のみでない限り、服用する時は水で服用しましょう。 口で溶けるといっても、口で吸収されるとは限らないので溶けた後は吐き出さないように気をつけましょう。

OD錠の他に、D錠とよばれる薬の形もあります。

D錠とは、「速崩錠」とよばれ、水なしで飲めるOD錠と違い、D錠は少量の水で服用することになっています。

薬剤師からのメッセージ
徐放錠

薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように加工した錠剤です。

噛んだり砕いたりすると、短い時間で薬の効果が出て、血液中の薬の濃度が急激に上昇し、副作用の危険性が増す場合があります。噛まずにそのまま飲み込んでください。

薬剤師からのメッセージ

お薬の正しい飲み方

錠剤が飲みにくいと思っていても自分の判断でお薬を噛み砕いたり、カプセル剤を開けて中身を出すことはしないで下さい。お薬には腸内で溶けるように設計されているものや有効成分がゆっくりと放出され長時間効果をあらわすものがあります。また、砕くことにより湿気を吸収しやすくなるものや光により有効成分が分解してしまうものもあります。

錠剤やカプセル剤が飲み込めない場合は、医師や薬剤師にご相談ください。

錠剤が溶けるためには、ある程度の水分が必要です。錠剤が食道に引っかかっていると潰瘍の原因にもなりかねません。お薬は、コップ半分(約100ml)以上の水か白湯で飲む習慣をつけて下さい。水以外で飲むと、お薬の効き目が強まったり、弱まったりすることがあります。特にグレープフルーツジュースや牛乳には注意が必要です。

薬は、医師に指示された飲み方を正しく守って服用してください。また、飲み方について分からない点がある場合は気軽に薬剤師に相談してください。