青空のまぶしい季節となりました。
外出時の紫外線にご注意ください。暑さにめげず、夏を乗り越えましょう。
今回のテーマは 消毒 です。
2015年7月
消毒とは
日常生活の中で「消毒」「殺菌」「除菌」など書かれたものを目にする機会が多いのではないでしょうか。 皆さんはこれらの意味の違いを知っていますか?
殺菌という言葉があると、とても効き目のあるものだと思ってしまいがちですが、殺す対象(細菌やウイルス)や殺した程度を含まないので、一部を殺しただけでも殺菌といえる、と解されており、厳密にはこの言葉を使ったからといって、その商品の有効性を保証したものではないと言われています。
ちなみに、消毒の手段として殺菌が行われることが多いので、セットで「殺菌消毒」という慣用語がよく使われています。
手洗いとうがい
上記に記したような消毒以外にも、感染症などから身を守るための方法はあります。最も一般的なのは手洗いとうがいではないでしょうか。
もう一度日ごろの手洗いとうがいを見直してみましょう。
正しい手洗いとうがいを
手洗いとうがいは、普通のかぜやインフルエンザの他にも様々な感染症を予防するためにとても効果的です。
どんなに気をつけていても、私たちは毎日色々なものに触れていて、想像以上にたくさんの細菌などの微生物に汚染されています。
しっかり手洗い、うがいをしているつもりでも、間違った方法のため効果が得られていないことも多いようです。
手洗い
こんな時は手を洗いましょう。
- 家に帰ったとき
- トイレの後
- 調理をする前
- 食事をする前
- 動物やペットにさわった後
手洗いで大切なのは汚れをしっかり落とすことです。
石鹸を使って洗い、泡をきれいに洗い流し、清潔なタオルで拭きましょう。特に、溝やくぼみがある所、物にふれる所は汚れやすいので気をつけましょう。
うがい
うがいがしやすい量(約60mL)の水や緑茶(殺菌作用があるといわれています)、または希釈したうがい薬をコップに用意します。これを使って3回にわけてうがいをします。
- 1回目は口の中の食べかすなどを取る目的で、口に含んで強くうがいします(いわゆる「クチュクチュペッ」)
- 2回目は上を向いて、のどの奥まで届くように15秒程度うがいします(いわゆる「ガラガラペッ」)
- 3回目はもう一度「ガラガラペッ」をします
また、当院にはこのようなうがい薬があります。
消毒薬の選択
手指消毒の基本は手洗い、物品は熱水や煮沸などによる消毒を行いますが、できない場合には消毒薬を使用します。 消毒薬と聞いてまず何を思い浮かべますか?
多くの方がアルコール消毒を思い浮かべるのではないでしょうか。
アルコール消毒はさまざまなウイルスや細菌に効果があり、手に入りやすい事から一般家庭や飲食店でポピュラーに使用されています。しかし実は消毒薬によって消毒できる細菌・ウイルスに違いがあり、適・不適な箇所があります。
消毒用アルコール
市販の製品:消毒用アルコール、消毒用エタノールIPなど
アルコール手指消毒の方法
主な特徴
- 引火に注意する
- キズや粘膜には使用できない
- 原液のまま使用する
次亜塩素酸ナトリウム
市販の製品:ハイター、ブリーチ、ピューラックス、ミルトン、ミルクボンなど
次亜塩素酸ナトリウムは、用途によって希釈する濃度が異なります。
0.02%の次亜塩素酸ナトリウムは、日常の拭き取り清掃(調理台や調理器具、床、ドアノブ、おもちゃ等)に使用できるのに対し、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムは、嘔吐物や排泄物で高濃度に汚染された場所(排泄後のトイレの便座等)に使用する事が出来ます。
主な特徴
- 金属を腐食させるため、金属には使用できない
- 濃度や換気に注意しなければ人体への毒性にも影響があり、手で扱ったときの肌の荒れようも消毒用アルコールに比べて影響は大
- 酸性にすると塩素ガスを発生(まぜるな危険)
ベンザルコニウム塩化物
市販の製品:オスバン、ハイアミン、キレイキレイ(消毒用)など。
主な特徴
- におい・刺激性・腐敗性が少ない
- 粘膜に使用できる
- 基本的に希釈が必要
食中毒と消毒方法
食中毒は気をつければ大事には至りません。飲食店などにおいて集団で起こることが多いと思われるかも知れませんが、家庭の食事でもしばしば発生します。家庭で発生した食中毒は、症状が軽かったり、発症する人が少ないことから風邪や寝冷えと思われがちで、時には食中毒と気づかないために、さらに拡がったり、重症化することもあります。
食中毒を防ぐためには、食中毒を理解し、適切な消毒方法を実施することが大切です。
ロタウイルス
特徴
子供や高齢者に怖い感染力が強い病気で知られています。ウイルスが10個以上いれば感染してしまいます。一般的には、1週間くらいで症状が落ち着きますが、さらに、1週間程度ウイルスを体内から排出を続けている場合も。
消毒方法
基本的な予防、対策は石けんを使用した手洗いです。アルコールでは消毒できないため、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒を行ってください。また、シーツや衣類などに嘔吐物が付着した場合は最初に洗剤で揉み洗いをした後、85℃以上の熱水で1分間以上の洗濯するのがいいでしょう。
ノロウイルス
特徴
経口感染、接触感染、飛沫感染など、感染ルートが複数あります。
消毒方法
予防に最も効果があるのは手洗いです。そしてノロウイルスを消毒するには85℃で1分以上の加熱、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が必要となります。逆性せっけん・アルコールの消毒効果は不十分です。
腸管出血性大腸菌O-157
特徴
わずか数個〜100個程度の菌数でも感染します。「ベロ毒素」という強力な毒素が大腸の血管壁を破壊し、鮮血混じりの血便が出ます。
消毒方法
食品の加熱処理が重要です。特に肉類は中心部まで十分に加熱調理し、生肉は食べないようにしましょう。(加熱時間の目安は75℃で1分間以上。)
加熱せずに食べる野菜は特によく洗浄しましょう。
カンピロバクター
特徴
近年発生している食中毒の中で、発生件数が最も多い食中毒です。原因食品として鶏肉が疑われるもの(鶏レバーやささみなどの刺身、鶏のタタキ、鶏わさなどの半生製品、加熱不足の調理品など)が多数占めます。
消毒方法
食肉を十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)しましょう。また、他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う、食肉を取り扱った後は手を洗ってから他の食品を取り扱う、食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行うことが重要です。
まとめ
身のまわりには目に見えない細菌・ウイルスがたくさんいます。
消毒をすることによってそれらから身を守り、感染の拡大を防ぐことができます。
しかし、消毒薬は、使い方を誤ると消毒の効果が出ないだけでなく、人体への毒性もあるため、適切に使用しなければいけません。
また、1番身近な感染症予防である手洗い・うがいをもう一度見直してみてください。