秋になり、過ごしやすい季節となりました。
今回のテーマは グレープフルーツと薬の飲み合わせ です。
2015年9月
グレープフルーツについて
グレープフルーツは亜熱帯を産地とする柑桔類です。ビタミンCを豊富に含んでおり、果実が枝にブドウ(グレープ)のような房状につくことから「グレープフルーツ」という名前がつけられたそうです。
高血圧等のお薬を薬局から貰う時に 「グレープフルーツジュースと一緒に飲まないでください」 と言われたことはありませんか?これから紹介するお薬は肝臓から出る酵素で徐々に分解されますが、この酵素をグレープフルーツに含まれる成分が邪魔することで上手く働かなくなります。それによってお薬が体から無くなるまでに時間がかかり、効果が強く現れてしまいます。そのため、一緒に飲まないようにと言われています。
相互作用ってなに?
薬と薬、薬と飲み物(食べ物)との関係で、薬が効かなかったり、逆に効きすぎたりして、身体に悪影響が出ることがあります。これを「相互作用」といいます。
飲み薬の多くは小腸から吸収され、肝臓に運ばれ分解されます。
グレープフルーツと飲み合わせの良くない薬
当院にある薬のうち、グレープフルーツとの飲み合わせが良くない薬にはカルシウム拮抗薬などがあり相互作用の強弱は以下の通りです。グレープフルーツと一緒に摂取することで、薬の効果が強く出すぎてしまう可能性があります。
★カルシウム拮抗薬(主に高血圧や狭心症に用いる)★
★その他、グレープフルーツとの飲み合わせの良くない薬★
グレープフルーツと飲み合わせの良くない薬についてよくある質問
- どれくらい時間を空ければいいの?
- グレープフルーツの影響は、一般的に摂取後24時間程度に及ぶといわれています。服用する薬がグレープフルーツによる影響を受ける時間はそれぞれの薬によって異なります。長いものでは2〜4日程度持続するものもあります。したがって、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツの摂取は避けましょう。
- グレープフルーツの摂取量が少量なら大丈夫?
- グレープフルーツの摂取量が多いほど、グレープフルーツとの飲み合わせの良くない薬の作用は強まります。しかし、薬に影響を与える成分の含有量は、グレープフルーツの銘柄間でかなりの変動があると考えられており、グレープフルーツの産地・収穫時期の違いなどで、大きく相違する可能性があるといわれています。
グレープフルーツを摂取する時点で、その成分の含有量を推測するのはとても困難なのです。したがってグレープフルーツ摂取量にかかわらず、グレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツの摂取は避けましょう。
- グレープフルーツの果肉や果皮による影響は?
- これまではグレープフルーツジュースに含まれる渋みの成分が酵素を弱くするといわれていましたが、最近ではグレープフルーツの果肉でも同じような作用が起こることが分かってきました。したがってグレープフルーツと飲み合わせの悪い薬を服用している間はグレープフルーツジュースだけでなくグレープフルーツの果肉や果皮の摂取は避けましょう。
- グレープフルーツと似た種類の食べ物でも相互作用は起こるの?
- グレープフルーツは初生柑橘亜属のブンタン(ザボン)区に属しています。ブンタン(ザボン)区にはグレープフルーツのほかに、八朔(ハッサク)、晩白柚(バンペイユ)、土佐ブンタン、平戸ブンタンなどがあります。これらの柑橘類果汁も薬に影響を及ぼすことがわかっています。しかし、温州みかんなどは影響を与えませんので、次項の表を参考にしてみてください。