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C型慢性肝炎・肝硬変に対する治療は、2014年9月以降、インターフェロンフリー治療薬が続々発売されました。インターフェロンフリー抗ウイルス治療の有効性は極めて高くウイルス排除率は95%以上です。しかも副作用はほとんどなく、治療期間も8週から12週間です。無症状でもC型肝炎ウイルスに感染していると、肝硬変へ進行、発がんの可能性がありますから、ウイルスに感染しているとわかればすぐに抗ウイルス治療を受けましょう。
B型肝炎も、治療効果の高い抗ウイルス薬があります。C型肝炎とは異なり、ウイルスを排除することはできませんが、ウイルスの増殖を抑えることにより病気の進行や肝がんの発生を抑制することができます。治療の対象ではなくても定期受診は必要です。定期受診をされていれば、B型肝炎の最新情報を常にアップデートできますから、通院から遠のいてしまった方も遠慮なくご相談ください。
■当院で無料肝炎ウイルス検査を受けることができます (条件あり)
肝がんの治療も進歩しました。手術、経皮的局所療法、肝動脈化学塞栓療法、肝動注化学療法、薬物療法があります。なかでも進行肝細胞癌に対する薬物治療の進歩は目覚ましいものがあります。肝がんは、ほとんどの場合、慢性肝炎、肝硬変を背景に発症し、他臓器にできるがんと比較し再発率も高いのが特徴です。肝予備能を考慮しながら、これらの治療を組み合わせて治療をすることとなります。したがって、発がんした場合は、これらすべての治療が可能な広島大学病院に紹介いたします。
最近は、C型肝炎が治癒する時代となり、飽食の時代の結果引き起こされた「脂肪肝」が目立つようになりました。飲酒で脂肪肝になるケースもありますが、飲酒習慣がなくても肥満や糖尿病が原因で脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患:nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)になるケースがあります。2020年以降、コロナ禍で体重増加し脂肪肝になっている方が増えているのではないでしょうか。NAFLDは、ほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver:NAFL)と、肝硬変に進行し肝がんができることもある非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis :NASH)に分類されます。
健診で脂肪肝と診断され「減量するように」と指導されても、無症状であるがゆえに、また仕事が多忙なため、生活習慣を変えることもなく、次の健診でも同じことを言われて、数年経過。そのうち肝硬変に進展、あるいは心筋梗塞発症というケースがありえます。
「肥満は万病のもと」なのです。そして、NAFLD/NASHは心血管イベント(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など)の発生率が高くなるのです。
ですから、「脂肪肝」といわれたけれど、なんとなく病院を受診していない方、あるいは通院しているけれど肝機能数値が高いままの方、ぜひ一度当科にお越し下さい。
当院では、初診時に問診(生活習慣問診票、食行動質問票)を行い、管理栄養士とともに生活習慣改善のアドバイス、減量指導に力を注いでいます。体組成計(In Body)で体重、体脂肪率をチェックし、単なる減量ではなくボディメイクを意識した指導を心がけています。
高齢者に対しては特に、理学療法士がサルコペニア(筋肉減少)をはじめとする、身体機能評価を行い、運動のアドバイスをしています。
これらは、多職種専門チーム「肝疾患お助け隊」の仕事のひとつです。
また、飲酒習慣のある方には、AUDIT質問票を使用してスコア化することにより、自信の飲酒状況を客観的に理解していただき、アルコールによる弊害を説明、減酒・禁酒指導を行い、早めにアルコール専門医療機関に紹介するよう努めています。