肝臓病の原因
肝臓病の原因はアルコールと考えていらっしゃる方もまだ多いでしょうか?
実は、我が国の肝臓病の大部分は、C型およびB型肝炎ウイルス感染が原因です。C・B型肝炎ウイルスに感染すると、慢性肝炎から肝硬変に進行し、肝がんができることもあります。しかも無症状のうちに。
がん=早期発見すれば根治できるとはいえ、こわい病気ですよね。
胃がん、大腸がん、肺がんなどは、発がんのリスク因子はわかっているものの、誰がかかるのか明確に予測することはできません。ところが、肝がんは違います。肝がん患者の80-90%はC・B型肝炎ウイルス感染者、すなわち、誰が肝がんになりやすいかわかっているのです。
これで、「ご自分が肝炎ウイルス陽性か陰性か」を知っておくことの重要性を理解していただけますよね。
国は、「肝がんになりやすい人を早く見つけて肝がんを撲滅しよう」と、肝炎ウイルス検診を勧めてきましたが、まだ検診受診率が低く、また、「肝炎ウイルスに感染している」と判定されても専門医療機関を受診していない方がかなり多いと推測されています。2008年1月からは、より多くの方に検査を受けていただくために、保健所のほか医療機関でも、検査を無料で行っています。もちろん当院でも行います。
広島県の肝炎ウイルス検診の詳細は広島県庁のホームページをご覧いただくか、保健所にお問い合わせください。
ウィルス性肝炎は国内最大の感染症
このように、ウイルス性肝炎は国内最大の感染症として、国による対策が進められているのですが、まだ国民全体にウイルス性肝炎の知識が普及していないのが事実です。ウイルス性肝炎は、知らない間に感染して、無症状のうちに進行してしまう可能性のある、こわい病気です。しかし、ウイルス性肝炎だと知っていれば、適切な検査と治療を受けることにより、肝硬変への進行抑制、肝がんの早期発見および予防が可能な病気でもあります。
肝炎ウイルス検査は、血液検査で簡単にわかりますので、一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けましょう。
今このコーナーを読んでいるあなた、知人のうちたった一人でかまいません。「肝炎ウイルス検査を受けよう」と声をかけてみてください。そうすれば、肝炎ウイルス検診の輪が広がり、ついには「国民全員が肝炎ウイルス検査を受けた!」という日が来るのではないかと期待しています。
肝炎ウィルス検査を受けましょう
そして、次のような方はいらっしゃいませんか?
- 過去に肝炎ウイルス陽性と診断されても、一度専門医療機関を受診したきり、あるいは受診したことがない方
- 以前C型慢性肝炎のインターフェロン治療を受け、その後医療機関を受診されていない方
- 「インターフェロン治療は副作用が強いし、効果もない」と言われて、治療をしないで今日に至っている方
- 以前、B型肝炎のキャリアと診断されたけれど、「抗体ができているから心配ない」と言われ、その後一度も検査を受けたことがない方
最近は、以前は治癒とみなされていたB型肝炎キャリアの一部に治療が必要な状態の方がいることがわかってきました。
そして、B・C型慢性肝炎の治療は急速に進歩しました。
さらに、B・C型慢性肝炎の医療費助成制度もあります。
詳しく説明させていただきますので是非とも当院を受診してみてください。
最後にもう一度・・・
『まだ肝炎ウイルス検査を受けたことのないあなた、
一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けましょう』
2008年4月から、B・C型慢性肝炎のインターフェロン治療に対する医療費助成制度が開始されました。 2010年4月からは、下記のように利用しやすくなりました。
- 自己負担額が、原則、月1万円まで引き下げられました
(所得により2万円) - B型慢性肝炎に対する抗ウイルス薬の内服治療も助成
- C型慢性肝炎の2回目のインターフェロン治療を助成
(ただし2回目の治療の効果が期待できる方)
インターフェロンや抗ウイルス剤により、肝硬変や肝がんへの進展を抑制できるにもかかわらず、医療費が高額であるために治療を受けられず、病気が進行するケースがありました。この制度で、より多くの方が治療を受けられるようになりました。