若葉が萌え、さわやかな季節になりましたね。それなのになんとなく最近やる気が出ない、ちいさなことでもイライラする。そんな症状があったら要注意かもしれませんよ。
今回のテーマは、五月病です。
2006年5月
五月病とは
五月病という名称はよく耳にしますが、実は「五月病」は医学用語ではなく、正式な病名ではありません。
「五月病」は期待に胸を膨らませて新しい環境に入ったものの、新たな環境に適応できずに焦りを感じたり、期待感と現実のギャップによるストレスから、仕事や勉強への意欲を失ってしまう症状の事をいいます。 もともとは4月に大学に入学した学生が、5月の連休明けくらいからうつ的気分になり、無気力になって学校に行く気がしなくなってしまう状態を言っていたものです。
でも、現在では新入生や、新入社員だけでなく、しかも五月に限った症状ではなく、夏休み明けなどにも多く見られると言われています。「五月病」は「5月にしかならない。」とか「学生しかならない。」といった類のものではなく、新しい環境に入った人ならば誰でもなりうる症状なのです。
余談ですが、社会人の場合は、新人研修が終わって実務に入り出す6月頃にこの症状が出ることが多いため、新五月病、又は六月病と言われたりもしています。また、人事異動の多い9月にも同じような症状を訴える方々も多いようです。
原因
新しい環境での生活というのは、著しい変化が1度に降りかかり、自分自身が感じている以上に肉体的にも精神的にも負担がかかっているものです。
でも、どうして5月にこの症状が現れるのでしょうか?4月は新しい生活にいち早く慣れることや友達作り、好奇心や期待で胸がいっぱいだったのに対して、5月に入ってゴールデンウィークなどのまとまった休みをきっかけに今まで溜まっていた疲れが表にドッと出てきて、これらがストレスという形となって、体に症状として現れてくるのです。
また、本人の性格も重要な因子で、同じストレスがかかっても、それが非常に負担になる人もあれば、上手く乗り越える人もいます。
五月病にかかりやすい人の特徴として、生真面目な優等生タイプの人、几帳面で完璧主義の人、内向的で孤立しやすい人、周囲に気を使いすぎる人などがあげられます。
主な原因としては、
- 大きな目標を達成した緊張からの解放感(入試、入社など)
- 新しい人間関係がうまくいかない
- 初めての一人暮らしや時間の使い方の変化など、環境に対応できない
- 新しい環境への不安、不満
- 期待に膨らませて入った大学や、職場への失望感
- 新しい環境に入り、次の目標を喪失してしまう
等々が考えられます。
症状
五月病には身体的な症状と精神的な症状が現れます。
身体的な症状として、めまい、頭痛、疲労感、朝起きにくい、動悸、肩こりなどが現れます。精神的な症状として、イライラ感、無気力、思考力の低下、判断力の低下、食欲の低下、睡眠障害などが現れます。このような症状が現れたら、五月病の予備軍かもしれません。早めに異変に気付いて五月病になるのを回避することが大切です。
予防法
五月病を防ぐためには、ストレスをためない事がまずは第一です。焦ったり、悲観したりしないで、「マイペースで新しい生活に慣れていけばいい」とゆったり構えることが大切です。自分にあったストレス解消法を見つけましょう。次の様な方法も効果的です。
何か身体を動かす趣味やスポーツなど始める
心に余裕が持てない為に運動や遊びが不足している人が結構多いです
十分な睡眠時間をとって生活リズムを整える
毎日決まった時間に就寝、起床するように心がけましょう
考え方を変えてみる
人間の身体は不思議に症状を意識しているとしだいに症状が強くなることがあります。まずあせりやいらだちをなくしていく努力をしましょう
少しでも休息はとるようにする
仕事と休養とははっきり区別するようにしましょう。仕事中でも2〜3時間毎に休憩をとりましょう
プラス思考で考える
良い刺激としてとらえ、困難を乗り切りましょう。一人で悩まず誰かに相談・話をしましょう
毎日の入浴でリラックスする
ぬるめのお湯(38℃〜40℃ぐらい)でゆっくり入りましょう。よもぎ、たんぽぽ、びわの葉、みかんの皮など入れるのもいいです
五月病になってしまったら?
五月病はその名の通り、基本的には一過性のもので、新生活や新しい人間関係に慣れてきたり、新しい目標や興味を見つけたり、ストレス解消が上手くなったりすることで、1〜2ヶ月で抜け出せます。もし、五月病になってしまっても、基本的には前記のような予防策と同じように、ストレスを解消し、ゆっくりと休むことを心がけましょう。そこで重要なのが「あせらない」ことです。自分のペースで、できることから少しずつやっていきましょう。
しかし、上手く気持ちの切り替えができないと、無気力状態がずっと続いてしまい、さらに症状が悪化してしまうと学校や会社をやめてしまい、引きこもりの状態になってしまったり、うつ病になったりすることもあります。症状が進んで、不安、焦燥、うつ状態などが強い場合には、専門医(心療内科、精神科など)を受診してみましょう。一時的に抗うつ薬、抗不安薬を使うことも有効です。適量の薬で、はやく症状が改善することもあります。
ストレスがたまるのを防ぐ栄養素
五月病の原因となるストレスをためないためにはどういった食事を摂ればよいのでしょう。
カルシウム
皆さんご存知の通り、イライラの原因としてカルシウム不足があげられます。カルシウムを多く含む食品には、干しエビや骨まで食べられる魚類(丸干しまいわし等)、脱脂粉乳、しらす干し、チーズなどがありますが、これらを毎日たくさん食べるのはとても大変です。そこで容易にたくさんカルシウムを摂取するのに有効なのが牛乳です。牛乳は100g中100mgのカルシウムを含み、コップ1杯で1日に必要なカルシウムの約3分の1が含まれているのです。
マグネシウム
マグネシウムはカルシウムの働きを調整する作用があります。このバランスが1:2から1:3というのが望ましいとされています。しかしマグネシウムはカルシウム以上に不足しがちです。ストレスをためるとこのマグネシウムの吸収がより悪くなるため、意識してマグネシウムの多い食品、アーモンド、カシューナッツ、大豆、落花生、干しひじき、納豆などを食べるように心がけましょう。特にひじきはカルシウムとマグネシウムのバランスが良い食品とされています。
ビタミン・ミネラル
ストレスがたまるとビタミンやミネラルの消費も多くなります。ビタミンは体内の機能を調節しているのでどれか1つでも不足すると体の機能が正常に働かないということがおこります。つまり栄養素の働きをスムーズにする潤滑油のような役割をするのです。野菜や果物をしっかり食べましょう。