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土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

この頃、めっきり寒くなってきましたね。

手足の冷えを感じている方も多いのではないでしょうか?

今回のテーマは、冷え性です。

2006年11月

冷え性とは?

冷え性とは、血液の循環が悪くて手足や腰などが冷えやすい体質のことをさします。足が冷たくて眠れない、冷えてお腹が痛いなどの悩みを訴える人が多いようです。冷え性の原因はさまざまですが、主に末梢血管へうまく血液が行き届かないことが大きな要因です。人間の体は、寒いと感じると体の表面の毛細血管を収縮させて体温が外へ逃げないようにします。

そして、ある程度の時間が経つと、今度は血液を送り込み、体表の温度が下がりすぎないように調節されるはずなのです。

ところが、そのように調節されず、いつまでも血管が収縮しているために冷たくなってしまうのが冷え性です。 それどころか、周囲が暖かくなってもなかなか血管が広がらず回復するのに時間がかかるのです。ただでさえ冷える冬は冷え性の人にとって辛い季節。 なぜ、血行が悪くなってしまうのでしょうか?

冷え性の原因

冷え性の原因は様々ですが、大きく分けると次の様になります。

● 毛細血管萎縮型

身体の体幹部分(脳・内臓)が正常に働くためには、一定の体温が必要です。外気が冷たくなると、血液からの熱の放出を防ごうとして、手足などの毛細血管が収縮します。そのため末端部分での血行不良が起こります。

● 低血圧型

低血圧の人では、心臓のポンプ力が弱く末梢の血管まで血液を届ける勢いがないため、手先などの末梢部分の毛細血管に充分な血液が流れにくくなります。

● 筋肉不足型

運動不足によって、筋肉ポンプの力が衰えると、末梢の血液が心臓に送り戻されなくなり、血液が末梢で滞りやすく血液の流れが悪くなります。

● 貧血型

貧血の人は身体中に酸素を送りとどける赤血球や、ヘモグロビンが少ない状態にあるので、各器官に送られる酸素濃度が薄くなり、細胞での栄養の燃焼が不完全となります。その結果、全身を効率よく温められにくくなります。

● 自律神経型

体温は自律神経によって調整されていますが、ストレスや不規則な食生活などが原因でこの機能が崩れると、必要な量の血液を必要なところへ送るという、本来の働きが行われず、血行不良状態となり、体に冷え性独特の症状(足が冷たくて眠れない、冷えてお腹が痛いなど)の様々な変調が現れます。

●無理なダイエット

食事を抜いたりすると、体を温めるための熱量が不足したり、皮下脂肪が減ったりして、体温維持ができにくくなります。

冷え性の対策

冷え性の原因は様々ですがつらい冷え性を改善するためには、日頃から、暮らしの中の「衣食住」(衣服・食べ物・住まい)を見直して、自律神経の働きをよくして、血液循環や新陳代謝を活発にするような生活を心がけ、体質を改善する必要があります。

● 衣服で調節する

冷え性は身体を冷やさないよう温める事が大切です。外出する時は冷えやすい首周りは、タ−トルニットやマフラ−、また手袋をするのも良いでしょう。素材として皮製のものは風を通しにくいので温かいですが、汗をかいては逆効果になります。ある程度通気性・吸水性のある素材が適しています。 足が冷えて眠れない時、靴下を履く事はとても良いことですが、この時も足を締め付けない『古い靴下』を活用すると良いと思います。

● ゆっくり入浴する

入浴は「低温長時間浴」が基本です。代表的な入浴法に「半身浴」があります。個人差はありますが、38度〜40度の湯船におよそ20分ゆっくりつかり身体の芯から温めます。入浴中は肩が冷えますのでタオルをかけて身体を冷やさないようにして下さい。そしてお風呂から出たらとにかく湯冷めしないように注意しましょう。

● 日頃から運動を心がける

普段あまり体を動かさないと、血液を流す力が弱くなってしまい、血行不良になってしまいます。体を温める熱を発生するのは、主に全身の筋肉。運動不足で筋肉が細くなったり、ダイエットなどで新陳代謝が落ちていると、熱を生み出す力が弱まってしまいます。生み出す熱が少なければ、いくら厚着をしても温まらないのです。ですから「温まりやすい体」になるために普段からの運動を心がけましょう。運動の時間をとるのが難しい人なら、エレベーターを使わず階段を上がったり、普段歩くときに歩き方に気をつけるとよいでしょう。積極的に体を動かし、全身の血行をよくしましょう。

● 食べ物で改善する

栄養のバランスを考えて、1日3食規則正しく食事をとることを心がけましょう。できれば生ものや冷たい物は控え、火を通した温かい物をとるようにしましょう。冷え性には、ビタミンE、ビタミンB群、鉄分を含んだ食品が有効です。

【ビタミンE】

ビタミンEには主に血流を良くする働きがあります。特にイワシなどの青魚には血流を改善させるEPAが多く含まれています。

(例) イワシ / かぼちゃ / キウイ / ア−モンド / ヘ−ゼルナッツ / 落花生 / マ−ガリン / マヨネ−ズ 等

【ビタミンB群】

ビタミンB群には代謝をよくする働きがあります。

(例) ごま / 納豆 / イワシ / 玄米 / 卵 / 干し椎茸 / 豚肉 / 緑黄色野菜 / 鶏肉 / 牛肉 / マグロ / 野菜 等

【鉄分】

貧血の人はほとんどが鉄欠乏性貧血の方です。鉄分を摂取することを心がけると良いでしょう。

(例) レバー / イワシ / ほうれん草 / 豆腐 / ひじき / カキ / インゲン豆 / かつお / 卵 等

 

冷え性と言ってもその原因によって対処も違ってきます。自分の冷え性の原因がどこにあるか見極めて積極的に対策をとることが大切です。