いま求められている医療の最高レベルを目指すとともに、明日の医療のあり方 に機能しよう/医療法人あかね会

あかね会TOP > 土谷総合病院 > 薬剤部 > くすりの窓

土谷総合病院

土谷総合病院 薬剤部 くすりの窓

梅や桜の花が咲く桃色の季節になりました。今年は春の訪れが早いですね。春といってもまだ寒い日がありますので、体調をくずさないように気をつけましょう。

今回のテーマは、歯周病・ムシ歯です。

2007年03月

歯周病って?

歯の根の部分は歯槽骨(しそうこつ)というあごの骨の中に埋まっています。そして、そのあごの骨を覆って守っているのが歯肉(しにく=歯ぐき)です。つまり、あごの骨や歯肉によって歯は支えられているのです。歯周病とは、歯を支えている歯肉や骨におこる病気で、歯肉炎と歯周炎があります。

歯肉炎と歯周炎

歯肉炎

歯肉が赤く腫れたり出血したりする軽い症状を歯肉炎といいます。歯肉炎の原因は、プラーク(=歯垢)です。歯肉炎になっても、きちんと歯みがきをしてプラークを取り除けば、もとの健康な状態に戻すことができます。

歯周炎

病気が歯肉だけではなく、歯槽骨と呼ばれる歯を支えているあごの骨まで及んでしまった状態を歯周炎といいます。歯周炎になると、歯槽骨が溶けて歯がグラグラしてきたり、歯肉が腫れて膿が出るようになります。

成人の8割は歯周病

多くの人が歯周病にかかっていることに気がつかないのは、歯周病の進行がゆっくりしていて、痛み、不快感などの症状や自覚できる変化が少ないためです。このため、歯周病は気がつかないうちに重度に進行していることもあります。

ムシ歯と歯周病を予防するには?

  • 正しい食生活
  • 歯磨き
  • フッ素の使用
  • 定期的な歯科健診

これに、キシリトールを利用するとより効果的です。

脱灰と再石灰化

歯の表面では、食事のたびに脱灰と再石灰化が繰り返されています。脱灰によって歯から唾液中に溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンは、再石灰化によって再び歯に取り戻されます。

ダラダラ食事をしない

食事をするたびに脱灰がおこります。三度の食事と一回の間食をするきまり良い食生活では、トータルでの脱灰の時間が少なく、再石灰化のための時間は長くなるためムシ歯の危険は少なくてすみます。間食の多い生活ではトータルの脱灰時間が長く再石灰化の時間が少ないのでムシ歯の危険が増加します。また、寝る前の飲食は危険です。寝ている間は唾液の分泌が低下するので、再石灰化の力がうまく働かないためです。

歯と歯の間にはプラークが残りやすい

歯と歯の間はプラークが付きやすく、とてもムシ歯や歯周病になりやすいところです。しかし、歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく、上手にプラークを落せません。組織が弱い歯と歯の間にプラークが滞留することで、ムシ歯や歯周病が始まるのです。ムシ歯・歯周病予防のためには、ハブラシに加えて、歯間クリーナー(歯間ブラシやデンタルフロス〔糸ようじ〕)も用いたプラークの除去が効果的です。歯間クリーナーを使用するにしても、一度は歯医者さんで指導を受けた方が良いでしょう。間違った使用法や、強く押し付けると歯ぐきを傷つけたり、歯と歯ぐきの溝を深くすることがあります。鏡を見ながら正しく使いましょう。

フッ素の話

「フッ素はむし歯予防に効果がある」と聞いたことがある人は多いと思います。

フッ素は私たちの身近に自然にある元素のひとつで、多くの食品(緑茶・紅茶、魚介類、海藻類、カニ・エビ等)に含まれています。以外に知られていないことですが、フッ素はムシ歯予防に欠かせないだけでなく、私たちの体(歯や骨)をつくる大切な役割を果たしています。

フッ素の働き

フッ素には大きく3つの働きがあります。この働きによってムシ歯予防ができるのです。

  • 再石灰化(さいせっかいか)を助ける
  • 歯の質を強くする
  • プラークがつくる酸を抑える

フッ素を使ったムシ歯予防

フッ素には大きく3つの働きがあります。この働きによってムシ歯予防ができるのです。

  • 方法1)歯医者さんで歯にフッ素をぬる方法
  • 方法2)フッ素入りハミガキ剤を使う方法
  • 方法3)フッ素洗口液(せんこうえき)でうがいする方法
  • ※詳しくは歯医者さんで相談しましょう

キシリトールの話

キシリトールは天然素材の甘味料で、シラカバやカシを原料におもにフィンランドで生産されています。私たちの身近なところでは、イチゴやラズベリー等の果物やレタスやホウレンソウ、カリフラワー等の野菜などに含まれています。また体内でも肝臓で1日に5〜15g 生産されています。その安全性はWHO(世界保健機構)でも認められており、とても安全な甘味料だといえます。砂糖と較べて、カロリーは25%も低く糖度はかわりません。溶ける時に熱を吸収するので、独特の清涼感があります。

キシリトールがムシ歯を防ぐ理由

キシリトールは口の中で「酸」を作りません。さらに酸の中和を促進する働きも持っています。唾液も出やすくなるなど、口の中をムシ歯になりにくい状態に保ってくれます。また、ムシ歯の原因となるプラークを剥がれやすくし、ブラッシングの効果を上げたり、フッ素と一緒になって、より歯を硬くするなど、普段のムシ歯予防に加える事で大きな効果を発揮します。

キシリトールの利用

フッ素とキシリトール配合のハミガキ剤、キシリトールガム、キシリトール配合タブレット〔錠菓〕等があります。

※詳しくは歯医者さんで相談しましょう。

歯が抜ける主な原因はムシ歯と歯周病です。生涯にわたり健やかで楽しい生活を送るためには、若い時から歯を失わないための自己管理と歯科の定期健診が必要です。